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民主党系スーパーPAC奮闘中

米国大統領選挙関連の記事をUpします。

記事を書いたのはロバート・ドレイパー(Robert Draper)さんです。元記事はここにあります。

スーパーPACに関連した記事です。

~~ここから~~

民主党はスーパーPACゲームでキャッチアップできるのか?

4月のある日、以前ビル・クリントンの政策アドバイザーでCNNのアナリストでもある、ポール・ビゲイラ(Paul Begala)は、左翼シンパで41歳、ヒューストン在住の裕福な法律家、スティーブ・モスティン(Steve Mostyn)に電話を掛けた。ビゲイラ自身はテキサス人ではあるが、まるでキャッツキルズのコメディアンのような調子の良さを持つ人物で、2人は共通の知人も何人か居た。しかし頻繁に民主党に献金するモスティンは、その電話が単なる時候の挨拶では無い事を直ぐに察した。ビゲイラはモスティンに、自分が現在、プライオリティーズ・USA・アクションのコンサルタントとして働いている事を告げた。プライオリティーズ・USA・アクションは、いわゆるスーパーPACであり、以前ホワイト・ハウスのシニア・スタッフだったビル・バートン(Bill Burton)とシーン・スウィーニー(Sean Sweeney)が率いる団体で、バラク・オバマ再選の為に運動している。ビゲイラは、自分とバートンが4月13日の金曜日にヒューストンへ行くと告げた。何処かで会えないだろうか?

「その日は、フォート・ローダーデールでボートに乗っているよ。」モスティンは答えた。「君達が来てくれたら歓迎するさ。」

その招待は心底からのものでは無かった。それが証拠にモスティンはボートがどのドックに繋留されているか告げていない。何れにしても、13日の金曜日正午ちょうど、ビゲイラ(良く船酔いする)とバートン(前日の午後サンフランシスコで、タコベルの相続者ロブ・マッケイ(Rob McKay)がテレグラフ・ヒルに持っている自宅で裕福な進歩派人士相手に売り込みをした後、夜行便で飛んできたばかりだ)は、ちゃんとフォート・ローダーデールのマリーナにやってきた。2人共ジーンズを履いてiPadを持っていた。

知らない人の為に言うと、テキサス人にとって「ボート」とは「ヨット」の事だ。バートンとビゲイラはモスティンの大きな船「オール・オア・ナッシング」に乗り込んだ。最初に出会った魅力的な人が2人にミケロブ・ウルトラ・ビールの缶を手渡した。会談は4時間に及んだ。モスティンと妻のアンバー(Amber:やはり法律家だ)は愛想が良かったが、率直でもあった。2人はスーパーPACのファンでは無い。スーパーPACはpolitical action committees(政治活動委員会)を意味し、個人や企業や組合から無制限に寄付を受けて、主に攻撃的広告で放送電波を満たす事を目的にしている。このような団体の存在を可能とした2010年最高裁でのシティズン・ユナイテッド判決(Citizens United decision:企業の選挙キャンペーン資金提供を合法とした判決)が下された時、モスティン夫妻は青ざめた。この問題に関して言えば、モスティン夫妻は完全にオバマに同意しているわけでは無い。大統領は共和党に譲歩しすぎていると思っている。「ナイーブだわ。」とアンバー・モスティンは言った。

「僕らもそういう話はたくさん聞いています。」バートンは打ち明けた。バートンはオバマの下でホワイト・ハウスの副報道官だった。まだ34歳の彼は、民主党の主張をテレビの演台から嬉々としてぶちまける闘士としてキャリアを積んできた。しかし彼の新しい役割には、裕福な民主党員がかつてのボスの欠点をあげつらうのを口をつぐんで傾聴する事も含まれている。彼はホストに対し丁寧に指摘した。「しかし彼が選ばれなければ状況はもっと悪くなるんです。」

モスティン夫妻は、ミット・ロムニーがオーバル・オフィスに入るのを見たくない点は認める。それでも彼らは、寄付によって何らかの違いをもたらす事が出来るのか半信半疑だった。「向こう側の連中は、馬鹿げた程の大金を投入しているわ。」アンバー・モスティンは言った。「彼らが流そうとしている、あの全部の狂ったコマーシャルときたら...あれにどうやって立ち向かうと言うの?」

バートンはその質問には用意をしていた。「彼らが使う金額に一々対抗する必要は無いんです。」彼は言った。そして自分のiPadを取り出すと、モスティン夫妻にパワーポイントのプレゼンテーションからスライドを幾つか見せた。スライドには、ロムニーのプライベート・エクイティ会社ベイン・キャピタル時代の記録について、一般の人は良く知らない事を示す世論調査結果も含まれていた。その他にも、2010年中間選挙で献金を適正に使った民主党議員が、より資金力のあった共和党員に如何にして勝利したかを示す会計情報も入っている。

そしてバートンはさらに別のものをスクリーンに表示した。それはプライオリティーズがロムニー攻撃に使おうとしている生ビデオ動画だった。画面に映っているのはベイン・キャピラルに解雇された数人の陰鬱な表情の男女だ。その人達はそれぞれ、26歳のスーパーPACリサーチ・ディレクター、ブレナン・ビルベリー(Brennan Bilberry)が見つけ出して、カメラの前で自分達の話をするよう説得した人々だ。その中の1人、中年の製紙工場従業員、マイク・アーネスト(Mike Earnest)はベイン・キャピタルの人間が立つ30フィートの演台を作るのを助けるよう言われた。後でその演台に立ったベイン・キャピタルの人間はアーネストを含む製紙工場の人達に解雇を伝えたのだった。「その演台を作ったのは言わば、」アーナストは中西部訛りの言葉で言った。「自分自身の棺桶を作ったようなものさ。」

スティーブ・モスティンは彼らのリサーチに感銘を受けた。どの程度の寄付を求めているのかモスティンは訊いた。

「100万ドルです」と言う答えが返ってきた。モスティン夫妻は過去、どの候補に対してもそれ程の寄付をした事が無い。

「もし出来るなら直ぐにでも欲しいんです。」バートンは言った。テレビ広告は早いうちに買えば安いのだと説明した。

敵対候補を早いうちに定義付けることは重要だとビゲイラは指摘した。「私達は1996年ボブ・ドール相手にそれで成功した。」彼は言った。「2004年の選挙戦で、ブッシュ陣営がジョン・ケリーに対してやった事でもある。」

バートンは付け加えた。「現時点で選挙民はロムニーをあまり良く知りません。私達が現時点で投入する金額は指数関数的な効果が有るんです。」

アンバー・モートンは、大統領に幻滅を感じている民主党員を、彼らがどのようにして再活性化させるのか聞きたがった。

それは私達の役目では無いんですとバートンは説明した。大統領選対本部とそれをサポートするスーパーPACは互いに連絡を取ることを禁止されている。しかしその活動範囲には暗黙の合意が出来ている。大統領の物語を監督するのはオバマ選対本部の仕事だとバートンは言った。プライオリティーズの活動はロムニーの「定義」に集中し、その過程で彼を破壊する事にある。そしてその為には、モスティン夫妻やその他大勢の同じ考えの人達に、シティズン・ユニオン判決に対する嫌悪感や大統領に対する不満を克服してもらい、大金の小切手を切ってもらわねばならない。何故なら向こう側では、毎日大金が集まっているのだから。

バートンと親友のシーン・スウィーニーは、労働者階級出身の活発な政治活動家だ。2人とも16ヶ月前にスーパーPAC活動を始める前は、上流階級の間で募金活動をした経験は無い。2人のこの仕事に対する適性は、他には誰もやりたがる人間がいなかったと言う事を除けば、豊富な資金を持つ外部グループが達成した破壊活動に対して、2人が共通して持つ敬意になるだろう。

バートンとスィーニーは2人とも2006年の中間選挙でラーム・エマニュエル(Rahm Emanuel)の為に働いた。エマニュエルはその時、民主党下院選挙委員会を指導し下院多数派の奪回に成功した。共和党に対し、人気が落ち目のジョージ・W・ブッシュの政策にべったりで腐敗していると汚名を着せる上で、労働組合やその他の外部グループが果たした役割は非常に大きかった。2008年春、ビゲイラもアドバイザーとして加わった民主党系PACのプログレッシブ・メディア・USAは、ジョン・マケインを攻撃するキャンペーンに数億数千万もの資金を大口献金者から集め始めた。選挙後もプログレッシブ・メディアが進歩派富裕層を惹き付ける存在になる事が目標だと、同PACの組織者が物欲しそうに私に語ったことがある。「考えてみてくれ、もし我々が4年後もこれを維持できたらどんなに有利か。」しかしオバマ選対本部は、それ自身で巨大な募金システムを構築していて、外部からの介入を望まなかった。その募金システムは、オバマ候補が運動初期の頃に出した宣言、公的資金とそれに伴う支出制限を受け入れると言う宣言を犠牲にして構築されたものだった。選対本部は当時30歳だったビル・バートンを送り出し、報道陣の前でこう述べさせる事で、プログレッシブ・メディアを閉鎖した。「この選挙戦の当初からオバマは支持者へ言っています。もし皆さんが彼の努力を助けたいと思うなら、彼の選挙運動を通して助けてくださいと。」

2年後、オバマ大統領は、シティズン・ユナイテッド判決を元に湧き上がった保守系スーパーPACを繰り返し非難した。オバマの行動は最終的に民主党を武装解除すると同時に、共和党を活発にする結果をもたらした。「2010年の秋、中国から金を受け取っているとか言ってオバマが我々を名指しで非難してきた時、その非難の言葉は基本的に可能な限り最高の募金用謳い文句になったんだ。」ジョナサン・コレジオ(Jonathan Collegio)は言う。彼はカール・ローブ(Karl rove)や共和党コンサルタントのエド・ジレスピー(Ed Gillespie)が設立した保守系スーパーPAC、アメリカン・クロスロードのスポークスマンだ。「我々は非難を受けた次の週に1300万ドル獲得したよ。」バートンとスウィーニーはホワイト・ハウスから、共和党がテーブルをひっくり返し、民主党を1億ドル上回る資金で下院を奪還するのを、同義的怒りよりも悔悟的敬意でもって眺めていた。

中間選挙から3ヵ月後、バートンは自分が、ホワイト・ハウスの報道官ロバート・ギブス(Robert Gibbs)の後釜にはなれない事を知った。ギブスは自分の副官を推薦しなかった(報道官の仕事は副大統領ジョセフ・バイデンの報道官ジェイ・カーネイ(Jay Carney)へ行った)。数人が示唆したように、それはおそらく、バートンの若さの為であったかも知れない。あるいは、静止されたにも関わらず、彼がその仕事を得る運動をあからさまに行った為かも知れない。大統領を含むホワイト・ハウスの複数の人間がバートンに残るよう勧めた。ギブスや他の人が、何であれ彼に足りないものを見つけたとしても、バートンは保守系報道番組フォックス・ニュースのホストとパンチの応酬を楽しんで見せるなど、報道官の代わりを十分務められる事を自ら証明している。

バートンは常に上へと登ってゆくワシントンの住人だ。その勇敢な楽天主義は彼が住むシニカルな世界から一片の曇りも受けていない。人から調子はどうだと聞かれると彼は何時も、しばしば断固として答える。「人生最高の日々さ。」彼は成人してからずっと政治スポークスマンであり、やはり政治の世界の住人であるクリントン政権の補佐官ローラ・バートン・キャップス(Laura Burton Capps)と結婚している。ローラはさらに、下院議員ロイス・キャップス(Lois Capps)と下院議員ウォルター・キャップス(Walter Capps)の娘だ。

バッファローに住む金属鋳造業の労働者の息子であるバートンは父の事をこう語っている。「父は一日中コンクリートの床に立ち続けて働いた男だった。50ポンドの異なる化学混合物が入った袋を運んで世界で最も汚染された空気を吸ってたんだ。」バートンは11歳になるまでに自分について2つの事を知った。最初のは1988年、副大統領候補ロイド・ベンツェン(Lloyd Bentsen)とダン・クエール(Dan Quayle)のディベートを家族の白黒テレビで見ていた時に、啓示として訪れた。それは「自分が政治の世界に行きたがっている事、そして一番高いレベルに行きたがっていると言う事だった。」

2番目に知ったのは自分が黒人だと言う事だ。バートンの父はアフリカ系アメリカ人で、母はポーランド系だ。小学校で標準テストを受けたある日、彼が自分を「その他」に分類した時だった。「5年生の時の担任の先生が言ったんだ、『いや、君は黒人だよ、黒人にマークしなさい』」彼は言った。「その時の僕は、『ああ、黒人ね』という感じだった。ただの新しい情報だったね。」彼は人種的分断の両方の側へ、わずかな努力で立つ事が出来る。そして政治的に上昇する為のエネルギーを節約する事が出来た。1999年にミネソタ州立大学を卒業した後、彼はアル・ゴア(Al Gore)の大統領選挙運動事務所を頻繁に訪れた。うんざりした事務所の人間は最終的に彼に副報道官のタイトルを与えた。22歳になった彼は議事堂で議員補佐官の仕事を得る。

しかし大統領政治こそがバートンのゴールだ。バートンはワシントンでの持てる全てのコネクションを駆使してトム・ハーキン(Tom Harkin:1992年大統領選挙に挑戦)上院議員を説得し、自分を報道官として雇用させる事に成功した。ハーキンが2004年の選挙に出馬しない事を決定すると、バートンは船を飛び降り、ディック・ゲップハード(Dick Gephardt)のアイオワ州コミュニケーション・ディレクターに収まった。ゲップハードが敗北すると、饒舌で休むことなきバートンはケリーの選挙運動に加わった。

2006年末、バートンはネットワークを駆使してバラク・オバマ上院議員の面接を受けることに漕ぎ着けた。オバマ上院議員は2004年の民主党大会で有名な演説を行っている。バートンはそれを「何回も何回も見たんだ。子供が『スター・ウォーズ』を百回も見るようにね。」彼は私にそう言っている。2人の男は、お互いの人種をまたがる経験については僅かしか話さなかったと言う。その代わり、上院議員の頭にはアイオワ党員集会の事があった。彼はオバマに、「尊重されるべき第3位の地位を狙うべきです。望みの薄い第2位よりも」と示唆したと言う。オバマは同意しなかった。彼はバートンにアイオワを取って見せると確約した。その直後、バートンはオバマのアンダードッグ・キャンペーンに参加し、草創期のシニア・スタッフの1人となった。

ホワイト・ハウスのトップ報道官に成れないと言うニュースで彼の野望は壁にぶつかってしまったが、バートンは自分の傷ついたエゴで長年に亘って育ててきた関係を汚すような事はしなかった。去年2月、バートン副報道官がホワイト・ハウスを去った丁度その時、シーン・スウィーニーもラーム・エマニュエルのトップ補佐官の地位を、エマニュエルがシカゴ市長選に出馬を決めた直後に辞任し、同じ様に新しいキャリアを模索していた。スウィーニーは40歳、乾いたウィットの持ち主で、政治の舞台裏テクニシャンとしてキャリアを積んできた。スポットライトをバートンやエマニュエルに譲り、正確な投票データだとか効率的な広告マーケットとかの細部に埋没する事に満足を見出す人物だ。2人の前オバマメイトは2月の間ずっとキャピトル・ヒルのチュニクリフ・タバーン(Tunnicliff’s Tavern)で過ごし、気乗りしないながらも、一緒にカウンセリング事務所を開くことを話し合った。しかしバートンは大統領関連政治に対する意欲を失っていなかった。

スウィーニーとバートンは仲間の民主党員とオバマ支持のスーパーPACを始めるというアイデアを検討し始める。2人とも、カール・ローブだとかコーク兄弟とかと競り合うには、自分の能力以上の力を発揮しないといけない事など気に病んだりしなかった。ある保守系スーパーPACの会員が私に言った事がある。「ローブやガレスピー(Ed Gillespie:共和党政治戦略家)に最も良く似ているのは、ジェームズ・カービル(James Carville:政治コンサルタント)とかエド・レンデル(Ed Rendell:前ペンシルベニア州知事)だろうね。」しかしもし、スーパーPACの主な仕事が相手を蹴手繰りする事であるのなら、選挙のベテランである2人には充分な経験がありそうだった。2人のプロフィールはさして目立たず、資金源も乏しく、募金活動の経験も無かったが、それでも2人は思い留まったりしなかった。

オフィスを借りる金も無かったし、(さらにはバートンに言わせると「スターバックスで会合するのは目立ち過ぎる」ので)、バートンとスウィーニーは初期の会合をメイフラワー・ホテルのロビーで行った。ビゲイラは有給コンサルタントとして契約した最初の人間だった。前D.N.C.のチェアマン、テリー・マコーリフ(Terry McAuliffe)は、他の仕事があると言って、最初に断ってきた人間だった。フロリダのオバマ選対組織でファイナンス・ディレクターをしていたテディ・ジョンストン(Teddy Johnston)は彼らの募金担当係のチーフに成った。スウィーニーは民主党コンサルタントのジェフ・ゲイリン(Geoff Garin)を、上院議員チャールズ・E・シューマー(Charles E. Schumer)の所で一緒に働いていた頃から知っていたので、彼を説き伏せて世論調査結果のマネージングを頼んだ。エミリーズ・リストおよび、アメリカ・カミング・トゥギャザーPACのエレン・マルコルム(Ellen Malcolm)は定期的な相談に乗る事に同意してくれた。クリントン政権で首席補佐官を務め、メディア・ファンドPAC代表も務めたハロルド・イッケス(Harold Ickes)は、プライオリティーズ・USA・アクションの代表になった。彼は2人にこう忠告したのを覚えている。「献金の募集は厳しい仕事だ。大きな塊で集める必要があるんだ。2億ドル集めるとしたら、9500万ドルは5人の人間から集めるものと思いたまえ。この仕事は、ただ歩いていって頼むような訳には行かないんだ。」

バートンとスウィーニーは、自分達が始めたPACの名前を決めるのに数週間掛かった。2人にとってイライラさせられたのは、考え出した全てのスローガンが既に共和党のトレードマークにされていた事だった。「最初、法律家に10個の名前を送ったんだ。」バートンは思い返す。「そして直ぐに50個になった。もう何だってあらゆる組み合わせを試したさ。フューチャー(future:未来)を使った名前は全部共和党に抑えられていた。ロムニー・リストア・アワ・フューチャー(Romney’s Restore Our Future:ロムニーが我らの未来を取り戻す)とかね。意味なんか全く無いんだけど。まあ、だからこそ彼らはこの名前を取れたんだろう。」

最終的に2人はプライオリティーズ・USA・アクション(Priorities USA Action)に落ち着く。バートンとスウィーニーはカール・ローブに対する逆の意味の敬意として、2人が考え出した組織をアメリカ・クロスロードに習って2つの部分に分けた。1つは、税控除のある政治行動委員会(PAC)で内部予算法セクション527でカバーされる団体だ。記名された個人やグループから無制限の寄付を受けられる。その同伴者となるプライオリティーズ・USAは税法501(c)(4)の元で認可され、共和党側のクロスロード・GPSと同様、匿名ドナーから無制限の寄付を受けられる。「社会福祉」団体は政治活動を「主要な目的」としない限り許されると言う判決文の為だ。(言うまでも無いが、かぎカッコでくくった言葉の定義はあいまいだ。「プライオリティーズ・USAは、クロスロード・GPSと同様に1つの目的を持っている。それは候補者を当選させたり落選させたりすると言うものだ。」選挙監視団体デモクラシー21のフレッド・ウェルトハイマー(Fred Wertheimer)は言う。「彼らは、自分達は社会問題を議論すると言う点で「社会福祉」団体なのだといって誤魔化すのさ。」)

しかしながら、プライオリティーズと、その対抗者となる保守的団体とは、基本的に異なる点が1つある。ワシントンを本拠とする無党派の報道組織ポリティコ(Politico)に寄れば、ローブの組織は2012年選挙で3億ドル集めると宣言している。それは、リストア・アワ・フューチャー(1億ドル)と、石油化学産業の億万長者であるチャールズとデイビッドのコーク兄弟の外部グループ(4億ドル)とあわせて、8億ドルの戦争資金になる。バートンとスウィーニーが定めた目標は1億ドルだ。

始まる前から軍拡競争を降りる事で、プライオリティーズのチームは、自分達の唯一の希望が非対称的戦闘にあると認識している。敵と比べた自分達の取るに足らなさを利点にするのだとビゲイラは私に語った。「カールは余りにも包括的に、余りにも多くの場所で、余りにも多くのレベルで活動しようとしている。彼は弾薬の重量を信じている。ソ連の宇宙開発計画が成功したやり方さ。彼らはむき出しの力を信じているんだ。その一方我々は正確さと完璧さを信じているんだ。」プライオリティーズは広告の購入において選択的だ。オバマがペンシルベニアで勝たねばならない事を考慮して、彼らはピッツバーグ郊外の浮動票に狙いを定め、高額なフィラデルフィアのマーケットで活動することを避けた。同じ様にプライオリティーズは高齢層(大統領への低支持から動きそうも無いグループ)の説得は試みない。その代わり、より可能性の高い層(郊外に住む大学を出てない若い女性層や、フロリダや西部のヒスパニック労働者層)へ狙いを定める。オバマ支持スーパーPACはこれ等の特定浮動票に狙いを定めるのだ。彼らの武器は、ビゲイラによれば、「情け容赦無く徹底的に1つの物語を売り込む事だ。」

去年12月、奇しくも真珠湾記念日に、バートンとスウィーニーは他のプライオリティーズ・アドバイザーと共に、世論調査員ジェフ・ゲイリンのデュポン・サークル・オフィスで、ロムニーの物語をどのようなものにするか決定した。彼らは、手のひら返しのロムニーと言う主題を直ぐに捨て去った。共和党員に対して、立ち居地が定まっていないと決め付ける事は、自分達が相手を定義できていない事を告白するようなものだ。それよりむしろロムニーを、事実の裏づけのある概念で決め付ける事だ。それも特別極端なやつで。

バートンとその仲間達は2012年当初、ロムニーが、バリー・ゴールドウォーター(Barry Goldwater)以来最も右よりの大統領候補だと言う宣伝をした。それは失敗に終っている。公衆はロムニーを過激派だとは見ていない。例えばプライオリティーズがあるフォーカス・グループに、ロムニーがライアン予算案を支持している、即ち、「我々が知っているメディケアを終らせようと」していて、同時にアメリカの最富裕層への減税も支持していると伝えた時、それに対する反応は、どんな政治家もそのような事はしないだろうと言う単なる拒絶だった。次第に明らかに成ったのは、有権者がオバマの対立候補に対して、何のセンスも持っていないと言うものだ。別のフォーカス・グループに対する試み、大学を出ていないミルウォーキーの有権者に、4月3日のウィスコンシン州予備選の前日に行った試みで、バートンとスウィーニーは驚かされた。既にロムニーは何ヶ月も選挙運動をしていたのだが、フォーカス・グループの多くの人間は彼の顔さえ認識できず、彼の立ち居地はもっと知らなかった。ゲイリンが私に言うところでは、この共和党候補に付きまとう奇妙な見え難さを考え合わせると、「ロムニーは生まれながらの政治家では無い。機会を見つけては自分の事を話すと言う性質を持って無いんだ。」

しかしそれによって民主党は、ロムニーを物語る上で大きな自由度を持つ事になる。彼らは春を通して、どうやってそれを行うか目鼻を付けた。プライオリティーズ・チームは、オバマの対立候補は特定観念の信奉者では無いと結論付けた。むしろ、富裕なアメリカ人の事のみを知っていて、そういう人達しか気にしていない人間だ。バートンはその違いを、「右か左かのアプローチでは無く、上か下かのアプローチさ。」共和党側では階級闘争として知られるものだ。

この物語を説明する最も有効なツールは、ロムニーのベイン・キャピタル時代の記録であるだろう。この物語では、ロムニー自身が大統領に相応しい主たる能力だと主張している経営者としての経験を、次のように言い換える。彼は確かに経済がどのように動くか良く知っているが、それを彼自身のような金持ちの為に働かす事しか考えていない。プライオリティーズのフォーカス・グループに参加したある人物は私に言った。「ビジネスマンは、高く評価される事が多いが、ミット・ロムニーみたいなタイプの人間のビジネス経験を量る現実的な物差しは無いのさ。」

ベイン・バッシングは新しい戦法とは言えない。1944年、ロムニーが最初に合衆国上院議員選挙を戦ったとき、テッド・ケネディが採用して派手な成功を遂げた戦法だ。ニュート・ギングリッチは共和党予備選の年に採用し、自分自身へバックファイアした。ギングリッチ支持スーパーPACが不正確情報満載のアンチ・ベイン・ビデオを流し、ギングリッチ自身で否定しなければならなかったのだ。ベルトウェイ・プレス(Beltway press:ワシントン環状道路内の報道機関)や、その他の報道機関にとってもおそらく、20年前にロムニーのビジネスが何をして何をしなかったかと言う話は古いニュースでしか無い。バートンとスウィーニーはその古さの問題を認識していると私に言った。そして、まるでカール・ローブみたいに、鋳物工場閉鎖の驚異はエリート・メディアには響かない、と言う仮定を披露した。

そして、彼らは強調する、このメッセージは彼らがターゲットとする層の皮膜を貫き通すだろうと。プライオリティーズ・チームの複数の人間が私に話したところでは、ロムニーは、又別の不器用で遠慮がちなマサチューセッツ州出身政治家、2004年にバートンが担いだ候補、ジョン・ケリー(John Kerry)を思い起こさせると言う。歴史が示すように、ケリーも又、ブッシュ選対本部が金に飽かせて作ったタッグチーム、スーパーPACの走りとも言うべき、スウィフト・ボート・ベテランズ・フォア・トゥルッス(Swift Boat Veterans for Truth)による決め付けに合い、敗れ去った。そしてプライオリティーズ・チームが良く知るように、スウィフト・ボートによるケリーの戦歴への非難は、民主党が反ブッシュPAC用に集めた資金の20分の1のお金で行われたのだ。別の言葉で言うと、情け容赦無く徹底的に1つの物語を売り込むのは安上がりだ。

設立して最初の10ヶ月が過ぎた時点で、プライオリティーズ・USA・アクションが集めたのは700万ドルに過ぎなかった。(その中の200万ドルはドリーム・ワークス・アニメーションのCEO、ジェフレイ・カッツェンバーグ(Jeffrey Katzenberg)が出した設立資金で、100万ドルは、コメディアンのビル・メイハー(Bill Maher)が出したものだった。)彼らの苦境は、ある程度まで、自らに対する堅苦しいイメージを抱えた民主党の、より大きな苦悩を反映したものだ。多くの民主党員の見方に従えば、ポスト・シティズン・ユナイテッドの選挙運動へとなだれ込む今年の状況は、「地獄の黙示録」的な、死そのものよりも暗い奈落の底への旅路だ。言わば良心の縛りを受けない自由空間であり、その中では共和党員のみが生き延びる事が出来る。「私が思うに、多くの民主党員は感じているんだ。このシステムに加わるのはシティズン・ユナイテッド判決を認める事だと。それは邪な破壊的な判断だとね。」ジェフ・ゲイリンは言う。

民主党員一般が抱える気分、そしてそれはプライオリティーズが募金者へ言う謳い文句でもあるのだが、それは彼らが奉仕する動機は良心から来ていると言うものだ。その一方、コーク兄弟のような共和党員が募金するのは、ビジネスを支持する彼らの候補が当選すれば、大金を手に入れられるからだと彼らは言う。プライオリティーズの大口献金者の1人は私に、又別の理由を話した。それによると、保守派は進歩派よりもポスト・シティズン・ユナイテッド環境により適していると言う。「私が見るところ、共和党側のスーパーPAC資金の殆どは憎しみから出されている。」彼は言った。「私達民主党員はあんな憎しみを持たない。」

民主党員が巨額の資金による大地を焦がすような選挙キャンペーンを嫌うなどと言う考えは、健忘症と言うだけでは済まされない。「2004年、我々はあらゆる力に溢れていた。それはブッシュがやっていた事に対する恐怖から来ていた。我々は激怒していたんだ。」リベラルな活動家、エレン・マルコルム(Ellen Malcolm)はそう振り返る。彼のアメリカン・カミング・トゥギャザーPACは、ジョージ・ソロス(George Soros)を初めとする富豪から数百万ドルに及ぶ寄付の恩恵を受けた。「ジョージはナチスの支配するヨーロッパから来た。いわゆるこの対テロ戦争なるものは、彼にとって馴染み深い、政府が管理を強化する行動だったんだ。恐れと怒りは、募金活動における強力な動機付けさ。そして現在、カール・ローブの側が恐れと起こりを持っている。」

感情的利点の類を持たない中で、プライオリティーズは、他にも複数の不利な要因を相手に奮闘している。その中の1つは、アメリカン・クロスロードのジョナサン・コレッジオ(Jonathan Collegio)が主張するものだ。「外部資金は権力を持たない党へ流れて行くものさ。何かを推し進めるよりも、何かを止めようとするんだ。」バートンとスウィーニーは、オバマの選挙はいずれにしても充分な資金を集められていると言う広く受け入れられている推定にも意義を唱えなければならなかった。「大口献金者は利口です。彼らは数字に注目しています。」有名な民主党募金担当者は私に言った。「彼らは思うでしょう。『私が要求されているこのお金は、いったいどの位のインパクトがあるんだ?オバマが集めたと言っている7億5千万ドルの資金と比べて?』」そしてプライオリティーズがオバマの支持を受けていないのみならず、むしろオバマの暗黙の不支持の元に活動していた事は、その短い活動期間の多くで不利に働いた。少なくとも去年12月までは。去年12月、オバマの選挙マネージャー、ジム・メッシーナ(Jim Messina)は仲間のアドバイザー、デイビッド・アクセルロッド(David Axelrod)に、募金活動における、保守派グループとリベラル派グループの間の巨大な不均衡を示すデータを見せた。すぐさま危機感を感じたアクセルロッドはつぶやいた。「これは大統領に見せなければいけない。」

バートンとスウィーニーは繰り返し聞かされた。民主党員がスーパーPACに対する嫌悪感を言い、オバマに対する幻滅を言い、(予備選の段階だったが)大統領が落選するなんて信じられないと言うのを。(「本当に難しかったんだ。」スウィーニーは春先に私に言った「ロムニーは手強いと納得させるのが。オハイオでリック・サントラム(Rick Santorum)相手に2000票差以内で敗れているんだから。」)そして月例の変り栄えしないF.E.C.による公表が続き、幾つかの物語がワシントンの中で伝わって行ったが、それらはベイン・キャプタルとは無関係な物語だった。プライオリティーズ・チームは未だゴールデン・タイムの用意は出来ていなかった。

「これ程の額の小切手を切ってもらうのは、個人的なプロセスなのよ。」民主党上院スーパーPACのリーダーの1人、スーザン・マッキュー(Susan McCue)は言う。「時間をかけて献金額について説明し、それでどういう違いがもたらされるのか説明しなければならないの。そしてそのお金を効率的に使うことを約束しなければならない。」恐らく、部屋一杯の締め切りに追われたジャーナリスト相手に納得できるメッセージを素早く出すスキルと、大金持ちを魅了して金を出させるスキルは、これ以上無いほど異なったスキルであるだろう。バートンとスウィーニーは金をせびる事においては初心者で、それは外目にも明らかだった。オバマの側近が私に言ったところでは、献金者の目には、バートンとスウィーニーは、ローブのような名声は無く、ビゲイラのような自然なセールスマンのタッチも無い人物として見えているだろうと言う。4月にアメリカン・クロスロードからの非難に対し、オバマの選対本部が自分達の資金でテレビの時間を追加買いして回答せざるを得なかった時、プライオリティーズにはその資金が無いのを知っている側近が、明らかにイライラしながら私に言った。「私達の側にもカール・ローブみたいなやつが居たら、こんな事はしないで済んだだろうにね。」

スーパーPACの公的な顔として、MSNBCに頻繁に顔を出し、ブログを書き、ワシントンのニュースメディアのご機嫌を取っているバートンは、批判に正面から晒されてきた。彼には荷が重過ぎると言う、現在流布されている当てつけは、表面的にはこのスポークスマンの、人生最良の日々的不沈性を傷つけていないようだ。(「もし貴方が記事を読まずに僕の写真だけを見たら、全く問題無いように見えるかもね。」彼はある特別酷評する記事が出た後、私にそう書いてよこした。)バートンとスウィーニーは繰り返し私に主張する。彼らが言うところの「教育期間」は、スーパーPAC嫌いの民主党員を転向させる期間であって、自分達のオン・ザ・ジョブ・トレーニングの期間では無いと。

それでも2人は助けが必要なのを知っている。春の終わりごろ、プライオリティーズは、ダイアナ・ロガール(Diana Rogalle:アクトPACから転入)、スーザン・ハロウェイ・トリチェリ(Susan Holloway Torricelli:前上院議員ロバート・トリチェリの前妻で募金活動のベテラン)、そしてキャサリーン・ドーアティー(Kathleen Daughety:以前マイケル・ベネット(Michael Bennet)上院議員のファイナンス・ディレクターをしていた人物)を迎えて、募金活動チームのてこ入れをした。ケリーの選挙運動でバートンのボスだったメアリー・ベス・ケーヒル(Mary Beth Cahill)とも戦略アドバイザーとして契約した。

「どうだい、シーンとビルは何にも気にしちゃいない。彼らは金を使う方、」つまりはメッセージを送り出す方「に居て、募金活動の方には居ないのさ。」ハロルド・イッケスは私に言った。「私が思うに、2人がこれを始めたのは、他にやるやつが居なかったからだ。こういう団体が必要なのは明らかだった。だから私は2人を焚きつけたんだ。こういった事には技術が存在する。芸術と言っても良い。殆どメヌエットのようなものさ。そして又、時間がかかるものなんだ。」

4月14日、ボートに一緒に乗船した次の日、スティーブ・モスティンはビゲイラに電話して、プライオリティーズに100万ドルの小切手を切ろうと言った。投票日25週前におけるモスティンの援助は、スウィング・ステートであるコロラド、オハイオ、フロリダ、ペンシルベニアで行う1000万ドルのテレビ・コマーシャル資金の助けとなる。これらの州では毎週のように陰鬱な反ロムニー証言の新版が流されていた。5月22日に流れたのは、アンパッド(Ampad)製紙工場に34年間勤めてベインに解雇されたロリス・ハフマン(Loris Huffman)だった。6月10日には、以前製鉄所の従業員だったドニー・ボックス(Donnie Box)が広告に登場した。

3日後、ウォールストリート・ジャーナルは、保守派でカジノ経営者の大富豪、シェルダン・エイデルソン(Sheldon Adelson)が、ロムニー支持のスーパーPAC、リストア・アワ・フューチャーへ献金すると発表した。エイデルソンが提供したのは1000万ドルだった。やっと手に入れたモスティンの援助の10倍で、プライオリティーズ・USAが買った全てのテレビ広告代に匹敵する。2日後、ハフィングトン・ポストは、同じエイデルソンが、アメリカン・クロスロードとコーク兄弟のアメリカンズ・フォア・プロスペリティに1000万ドルの小切手を切る予定だと報じた。カジノの大立者が友人に語ったところでは、右翼の大義と候補に対する彼の援助は全て合わせると1億ドルに達するだろうと言う。プライオリティーズが2012年全体で目標とする金額に等しいものが、1人の共和党員募金者から提供されるのだ。

ロムニー・スーパーPACに対するエイデルソンの援助の記事を読んだ後、バートンが思いついたやるべき事は1つだけだった。「この記事を思いつく限り全ての民主党募金者に送付したのさ。」後で彼は思い返して言った。バートンのe-mailのタイトル、ただし罵り言葉を削除したものは、「明らかに向こう側はモタモタなんかしていない」だった。

しかし5月末から6月にかけて、プライオリティーズの広告を押し流したのはシェルダン・エイデルソンでは無かった。むしろオバマの選対本部が、不注意にも、プライオリティーズの広告を押し流してしまった。明らかに選対本部はプライオリティーズ・USAが計画した小さな攻撃広告の事を知らない、あるいは気にしていなかった。そして独自にベインによるGSTスチール閉鎖に注目した2分間の攻撃ビデオを放送した。ビデオは最後に「私はバラク・オバマです。このメッセージを承認しました」と言う言葉で結ばれている。

即座に、この広告に対する圧倒的に否定的な反応が返ってきた。民主党員からの批判が次から次へと相次いだ。先陣を切ったのはニューアーク市市長でオバマの代理人でもあるコリー・ブッカー(Cory Booker)、それに続いて前下院議員のハロルド・フォード・ジュニア(Harold Ford Jr.)、前合衆国財務アドバイザー、スティーブン・ラットナー(Steven Rattner)、そして前知事エド・レンデル(Ed Rendell)。皆、プラーベート・エクイティ会社に対する大統領の厳しすぎる言及を公に批判した。

バートンとスウィーニーは騒ぎが収まるのを待った。2人とも、ブッカーやその他の人間達には、財界との深い繋がりがあるのを知っていた。2人は又、自分達の世論調査データを信じていた。そしてそのデータは、6月初め、ヴァージニア州リッチモンドおよびラスベガスの、郊外居住の母親を対象としたフォーカス・グループによっても裏付けられていた。そして又、NBC-ウォールストリート・ジャーナルの世論調査でも、有権者はベインの行動に対して、2倍の確率で否定的な意見を持つ事が示されていた。その一方、オバマの仲間の民主党員から来る全ての逆風には、基本的な政治の真理がひそんでいる。自由世界の指導者は、ミット・ロムニーの過去のビジネスを非難するよりも、他の事に自分の時間を使った方が良いと言う事だ。そんな仕事は彼に相応しくない。しかしその仕事は、スーパーPAC界の暗がりに潜むオバマの友人達に相応しく無いのではまったく無い。むしろ反対に、プライオリティーズがやろうとしているのは、正にそう言う仕事だった。

バートンとスウィーニーの創作物は、いまや比較的堅固な足場を築きつつあった。6月後半になると、スーパーPACは合計4000万ドルの資金を集めた。その内2000万ドルは銀行にあり、12人の100万ドル献金者が役員として参加している。一番最近加わったのは、クアルコム(Qualcomm)の共同設立者、イルビン・M・ジェイコブズ(Irwin M. Jacobs)と彼の妻ジョアン(Joan)。2人は大口政治献金者の世界へ初めて入った人達で、バートンやプライオリティーズの代理人が、電話を掛けたりe-mailを送ったりして1年かけて個人的に説得したところ、ついに夫妻は折れて200万ドルの献金に応じた。プライオリティーズの1億ドルの目標は到達可能なところまで来たが未だ確実なものでは無い。「目標にたどり着くには、」イッケスは言う、「500万ドル献金者や1000万ドル献金者が必要なんだ。」プライオリティーズの別のメンバーは物欲しそうに言った。「多分まだ僕らが聞いたことも無いような人がいると思うよ。こっち側に誰かチャールズ・コークみたいなやつは居ないのかな?」

6月21日、バートンはバッファローに戻り、自分も1995年に卒業したシティー・オナーズ・スクールの卒業式でスピーチをした。「多くの男女が、どうやって成功したかと言う事で人の記憶に留まるように、」前ホワイト・ハウス報道官は若い聴衆に向かって言った。「彼らはどういう風に失敗したかで定義されるんだ。そしてそこから如何にしてカムバックしたかでね。」その日遅く、バートンが高校時代の仲間や教師達と夕食を共にしている時、ロムニーとベイン・キャピタルに関する記事がワシントン・ポストのWebサイトにアップされた。その記事の記者は米国証券取引委員会と共に書類を分析しており、ベインは「海外のコール・センターや工場へ、合衆国から仕事を輸出するパイオニアとなった企業群を所有していた」と書かれている。

レストランからバートンはスウィーニーと彼のチームにe-mailを打った。午後10時45分には覚書の草稿が作られた。その覚書は翌朝7時までに数百人のレポーターのe-mailアドレスに送られる。「アメリカの労働者の為に立ち上がると言うインチキなレトリックにもかかわらず、今日ワシントン・ポストはロムニーがアメリカの仕事を海外へアウトソースする事で直接利益を得ていた事を詳細に述べている。」直ぐにも彼らは、自分達の物語に、より深みを持たせる為、世論調査の項目にベイン関連の質問をさらに追加した。この物語は、自分達の資金不足のスーパーPACが浮動票を説得し、それによって接戦と成っている大統領選挙に違いをもたらす為の、最善の一打であるだろう。バートンとスウィーニーは彼らに出来る最善の事を、物語を語る事をしている。それでも、充分な数の人々にその物語を聞かせる事が出来るかどうかは、依然として最も困難な課題なのだ。

~~ここまで~~

次回更新は7月28日ごろになると思います。
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Author:ゾノシン
英語の勉強の為に、ニュースサイトの記事を読んでいるうちに、面白さにつられて翻訳してみようと言う無謀な事を始めました。大変なので更新は一週間に一回位になると思います。どこまで続けられるか解かりませんが。

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