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ミクロビオームを手入れして健康を保つ

体内微生物に関する記事をUpします。

記事を書いたのはカール・ジンマー(Carl Zimmer)さんです。元記事はここにあります。

体内の細菌が健康に果たす役割に関する記事です。

~~ここから~~

体内の微生物庭園を手入れする

この1世紀の間、医師たちはバクテリア相手に戦争を繰り広げてきた。抗生物質がその武器だ。しかしその状況は、科学者が私達の体を棲家とする100兆もの微生物に詳しくなるに連れ変わりつつある。この微生物集合体はミクロビオーム(microbiome)として知られるように成った。

「私はもう戦闘的な言葉を使いたく無いです。」国立ヒトゲノム研究所(National Human Genome Reserch Institute)のシニア研究者、ジュリー・セグレ(Julie Segre)は言う。「そう言う言葉を使うのは、私達と共に進化し、体の健康に尽くしてきた全てのバクテリアに対する酷い仕打ちですから。」

この健康に対する新しいアプローチは医療生態学(medical ecology)と呼ばれている。セグレ博士や同じ思いの科学者達は、無差別の大量虐殺をするのでは無く、微小な野生動物達のマネージャーを目指している。

抗生物質を直ちに捨て去りたいと思っている人間は誰も居ない。しかし私達の体内及び体表の目に見えない生態系を養育する事で、医師は伝染性の病と闘う別の方法を見つける事が出来る。ミクロビオームを手入れする事は、バクテリアとは何の関係も無いと思われていた病、肥満であるとか糖尿であるとかを含む病を治療する際の助けにもなるかも知れない。

「この分野が、大きな科学の領域と成るのが、待ちきれないです。」カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校の微生物学者、マイケル・A・フィッシュバッハ(Michael A. Fischbach)は言う。彼は6月に発行されたScience Translational Medicine誌に載った医療生態学宣言(Medical ecology manifesto)の執筆者だ。

私達の体内生態系に関する最近の洪水のような発見から判断すると、この分野は既に科学の大きな領域となりつつあるようだ。6月初めにセグレ博士とその他200名の科学者が、ヒト・ミクロビオームに関するかつて無い大胆な調査結果を公表した。ヒューマン・ミクロビオーム・プロジェクトとして知られるこのプロジェクトは、242人の健康者を2年間に亘って追跡調査した研究結果を基礎としている。科学者達は被験者の体15箇所以上から採取されたバクテリアの遺伝子配列を調べ、500万以上の遺伝子を抽出した。

このプロジェクトとその他の同様な研究によって、私達の体に住む目に見えない住人が私達の生き方を、その誕生から死まで、如何に形作っているのかが明らかに成った。

最近の報告は、母親が子供のミクロビオームを形成することで、どのように子供の健康を促進させるかに光を当てている。6月初めに発行されたPLoS One誌で、ベイラー医科大学の産科医シェルティ・オーゴール-ティレリイ(Kjersti Aagaard-Tillery)博士と彼女の同僚達は、妊婦の膣内のミクロビオームについて説明している。研究を始める前、オーゴール-ティレリイ博士は妊婦の膣内のミクロビオームは妊娠していない女性となんら変わらないと思っていた。

「しかし発見された事実は全く反対でした。」彼女は言った。

妊娠初期の3ヶ月間で、膣内のバクテリアは大きく変化する事を彼女は発見した。今まで優勢だった種は少なくなり、別の種がその反対に多くなる。

妊婦の膣内で支配的になる種は乳酸菌(Lactobacillus johnsonii)だった。これは通常腸内で見つかる細菌で、乳を消化する酵素を分泌する。少なくとも膣内で増殖するのは稀な種であると言える。オーゴール-ティレリイ博士の推測では、膣の環境変化がバクテリアの増殖を助けたのだろうと言う。出産の際、新生児は乳酸菌で覆われ、その幾つかを飲み込む。オーゴール-ティレリイ博士は、こうして乳酸菌を接種する事で乳児は母乳の消化の準備をするのだと示唆している。

乳児のミクロビオームは授乳期間を通して成長を続ける。去年公表された、16人の授乳期の母親に対する研究で、アイダホ州立大学のキャサリン・M・ハント(Katherine M. Hunt)と彼女の同僚達は、母乳には600種のバクテリアと共に、乳児には消化できない糖分であるオリゴ糖(oligosaccharide)が含まれている事を報告している。この糖分は乳児の腸内にいる有益なバクテリアに栄養を補給していると科学者は言う。有益なバクテリアを増殖すれば、有害なバクテリアが地歩を築くことを困難にする事が出来る。

子供が成長するにつれ、ミクロビオームは生態系として、より複雑に成ってゆき、免疫システムを教える先導役となる。生態系が混乱するとこのミクロビオームによる教育作業も中断される。3月に、ハーバード大学のリチャード・S・ブランバーグ(Richard S. Blumberg)博士は、この教育作業が如何に重要であるかを強調する実験結果を発表した。

科学者は、ミクロビオームを持たないマウスを育てた。この無細菌マウスは腸や肺の中で、異常に高いレベルの免疫細胞、インバリアント・ナチュラルキラーT細胞(invaliant natural killer T cells)を作り出している。通常この細胞は、ウイルスや病原体に対する免疫システムの自然な素早い反応の引き金となる細胞だ。しかしながら、ブランバーグ博士の無細菌マウスでは、免疫細胞は有害な炎症を引き起こしていた。成熟したマウスは、喘息や腹部炎症を起こしやすく成る。

この研究は最近の子供に対する研究とも符号する。高いレベルの抗生物質を接種した児童は、後にアレルギーや喘息を発症するリスクが高くなると、多くの研究者が示唆している。

ブランバーグ博士と彼の同僚は、マウスが未だ若いうちならバクテリアを投与する事で病気になるのを避けられる事を発見している。しかし成熟したマウスがミクロビオームを獲得しても症状は改善しなかった。

利点と欠点

ミクロビオームを形成する種の多様性は、測るのが困難なほど膨大だ。しかしながら、如何にしてこの膨大な細菌と免疫システムが共存していられるのかを理解するのはさらに困難だ。例えばどんな人間でも口の中に約75から100種の細菌を持っていることを、ヒューマン・ミクロビオーム・プロジェクトは発見している。ある人間の口の中で優勢な種は、他の人間では稀であったりする。それでも現在、新たに発見される種の割合から判断すると、人の口の中には、約5000種のバクテリアが生息していると思われる。

「細かく見れば見るほど、より多くの発見があるんです。」マサチューセッツ州ウッズホールのマリン・バイオロジカル研究所のスーザン・H・ヒューズ(Susan M. Huse)は言う。

ヒューマン・ミクロビオーム・プロジェクトは主にバクテリアに注目しているが、ミクロビオームの多様性はさらに大きい。例えば我々の体にはウイルスも棲んでいる。

人間の中の「ビローム(“virome”:同じ環境の中に居る多様なウイスル)」は主に体内に生息するバクテリアに寄生する種だ。しかしワシントン大学のクリスティン・ワイリー(Kristine Wylie)と彼女の同僚達は、ビューマン・ミクロビオーム・プロジェクトのデータベースに格納されたDNAサンプルの中に、人間の細胞をターゲットとする多様なウイルスも発見している。人々が体内に、宿主である人間に感染しようと忙しく働く多様なウイルスを持っていることは、正常な事であるように思われる。「多くの健康な人が実際にビロームを持っている事は、驚くべき事です。」ワイリー博士は言った。

ミクロビオームには菌類(カビなど)も含まれている。サイエンス誌6月8日号で、ロサンゼルスのセダー・シナイ病院のリサーチ・サイエンティスト、デイビッド・アンダーヒル(David Underhill)と彼の同僚は、人間やその他の哺乳類の腸に生息する多様な種の菌類について報告している。例えば、彼らは既知の100種と共に、新たに発見された100種をそのカタログに取り上げている。このような多様性は、細菌と戦う為に進化してきた免疫システムと共存している事と考え合わせると、より一層注目すべきものである事が判るだろう。科学者は、免疫システムがどのようにして殺す相手と受け入れる相手を判断しているのか、おぼろげにしか理解できていない。

例えば免疫細胞は、感染性菌類と戦うためにデクチン-1(dectin-1)と呼ばれるタンパク質を分泌するが、それは菌類にしか取り付かない。しかし、アンダーヒル博士は、デクチン-1が無害な菌類を受け入れる上で、不可欠の存在であることを発見した。彼らがデクチン-1を分泌できないマウスを作り出してみたところ、そのマウスは無害な菌類にも反応して、自分自身の組織を傷つけるほどの炎症を起こした。

免疫システムが自分を抑止できるのは良い事なのだ。何故ならミクロビオームは私達の為に数多くのサービスを提供してくれるのだから。腸の中のミクロビオームはビタミンを合成し、硬い植物性混合物を消化可能な小片に分解する。

皮膚のバクテリアも又、不可欠だとセグレ博士は言う。「皮膚の最も重要な機能の1つは障壁と成ることです、」彼女は言った。バクテリアは皮膚細胞が出す柔らかい分泌物を餌にして、水分を含んだフィルムを作り出す。それによって皮膚の柔軟性が保たれ、ひび割れを防ぐ。同時に病原体の進入を防ぐのだ。

システムの秩序を回復する

抗生物質は有害なバクテリアを殺す、しかし広域スペクトラム(broad-spectrum:殺傷範囲の広い抗生物質)の処方は、多くの必要な種も殺してしまう。フィッシュバッハ博士は抗生物質を、庭に撒く除草剤に例えて見せた。除草剤は望ましくない植物を殺すが、同時にトマトやバラも殺してしまう。庭師はトマトやバラは、自力で回復すると考えている。

しかし事実として、細菌生態系が自動的に元に戻ると言う保証は無い。「後になって振り返ったら馬鹿げて見える仮定の1つかも知れないんだ。」フィッシュバッハ博士は言った。実際のところ、幾つかの種は、生態系の混乱に付け込んで進入し地歩を固める。クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)はしばしば、抗生物質投与後に人の腸に進入する。2000年から2009年にかけて合衆国の入院患者でC・ディフィシル保菌者の数は倍以上に増えた。139,000人から336,600人になったのだ。いったん取り付いてしまうと、抗生物質耐性C・ディフィシルの根絶は非常に困難だ。

今現在、科学者は、健康なミクロビオームの姿を捉えようとしているところで、破壊されたミクロビオームの修復について楽天的だ。「この時点では未だ、修復が可能になる寸前に私達がいるのかどうか判りません。しかし私の考えでは、少なくとも修復が可能であると主張するデーターが表れ始めています。」ミクロビオーム・プロジェクトにおける主要な研究者であるJ・クレイグ・ベンター研究所のバーバラ・メッシー(Barbara Methe)はそう言った。

ミクロビオームを回復する一つの道は、有益なバクテリアを選択的に養育する事だ。例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のような危険な皮膚病の病原菌に対して、セグレ博士は、無害な皮膚バクテリアの栄養素を含むクリームを与える事を考えている。「それによって、黄色ブドウ球菌を押しのける健康なバクテリアの成長を促すんです。」彼女は言った。

バクテリア移植

直接バクテリアを追加する方法も有効だ。残念ながら、いわゆるプロバイオティクス(probiotics:人体に有効な微生物)の科学は商業化の遥か手前の段階だ。ユーロモニター・インターナショナル社のリサーチによれば、2011年、プロバイオティクスの食品およびサプリメントは280億ドル売り上げた。しかしその殆どは薬品のような厳密なテストを受けていない。

「私の考えでは、この分野の科学は粗雑で薄弱だ。」フィッシュバッハ博士は言う(博士はスキッフ・ニュートリション・インターナショナル社の科学アドバイザリー役員だ)。

それでも、彼は少数の有効なプロバイオティクス療法に注目している。C・ディフィシルの治療に便移植(fecal transplants)を行う医師が増えてきている。健康なドナーの便を、座薬の形でC・ディフィシル感染患者へ提供するのだ。その元になる考えは、便の中の善玉菌が腸の中に地歩を築き、C・ディフィシルと戦い始めると言うものだ。今年、アルベルタ大学の研究者達が124件の便移植を観察し、この処置が安全で有効であると結論付けた。83%の患者で、体内の生態系が改善されると共に、即座の病状改善が見られた。

ミネソタ大学のアレクサンダー・コーラッツ(Alexander Khoruts)博士と彼の同僚達は、便移植を標準的な治療法にしたいと考えている。彼らは今、便からバクテリアを抽出している。「『ゲッ』となる要素を取り除いているんだ」と彼は説明する。

コーラッツ博士と彼の同僚達は、便移植の正式な診療試験に対する連邦政府の許可を受けた。最終的に彼は、腸内生態系を構築する小数のキーとなる種を含んだプロバイオティクス薬品を開発したいと考えている。

「やがて人々はこれを真剣に検討するようになる、」フィッシュバッハ博士は言う。「これは数多くの人を救う治療法なんだ。」

他にもミクロビオームを操作する事で治療される可能性のある症状が存在する。例えば科学者は、腸内生態系の変化と肥満とを関連付けている。科学者が、肥満したマウスのバクテリアを痩せたマウスに移植したら、痩せたマウスの体重が増えた。

これがどのようにして起きるのかは未だ明確では無い。しかし幾つかの研究は、「太った」ミクロビオームが体にシグナルを送り、細胞が糖分を消費するやり方を変え、より多くの脂肪を貯えるように体を導く事を示唆している。

アムステルダムのアカデミック・メディカル・センターの研究者達は、便移植が肥満の治療に役立つかどうか、診療試験を行っている。彼らは45人の肥満男性を募集した。数人は自分自身の便の移植を受け、その他は、痩せた人からの便移植を受けた。痩せたドナーから移植を受けた肥満の被験者が、糖分の代謝方法をどのように変更させるのか、科学者達は発見しつつある。

当初の結果は有効でありそうに見えるが、依然として肥満の被験者が体重を減らす証拠は上がっていない。フィッシュバッハ博士は、どのようにミクロビオームを操作して人を健康にするか、明確にするには今しばらくかかるだろうと警告している。

そして医師に、生態学者のような思考法を採用してもらうには、更に時間がかかるだろう。

「私の知る内科医達は、本当に明瞭でハッキリした考えが好きなんだ。」フィッシュバッハ博士は言う。「しかしあらゆる生態系がそうであるように、ミクロビオームは単純な回答が得られるような場所では無い。」

~~ここまで~~

次回更新は8月4日ごろになると思います。
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Author:ゾノシン
英語の勉強の為に、ニュースサイトの記事を読んでいるうちに、面白さにつられて翻訳してみようと言う無謀な事を始めました。大変なので更新は一週間に一回位になると思います。どこまで続けられるか解かりませんが。

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