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325,000ドルのバンバーガーを作る

科学関連の記事をUpします。

記事を書いたのはヘンリー・ファウンテイン(Henry Fountain)さんです。元記事はここにあります。

試験管でバンバーガーを培養する話です。

~~ここから~~

325,000ドルのハンバーガーを作る

オランダ、マーストリヒトにて――美食的繊細さを基準に見れば、マーク・ポスト(Mark Post)が苦労して作り上げた5オンスのハンバーガーには誰も振り向かないだろう。しかしポスト博士はこれで相当数の人の認識を変えたいと思っている。

そのハンバーガーは、肉牛の筋肉繊維の小片を研究室の中で培養し、それを組み合わせて作ったもので、おそらくは数週間の内にロンドンで開催されるイベントで世界に向けて見せるために、料理して食べることになっている。イベントを見せたい人々の中には、もちろん研究費を出してくれるかも知れない人も含まれている。つまりこのバンバーグの実態は、いわゆる試験管ミート、あるいは培養肉である。

「この培養肉と言う概念を証明して見せようじゃないですか。そして議論の内容を、『こんなことは上手くゆくはずが無い』と云うものから『上手くゆく事は判ったでしょう、しかし今、私たちは資金が必要ですし、もっと改善もしなければならないんです』というものに変えてみせよう。」ポスト博士は、昨年秋にマーストリヒト大学のオフィスで行ったインタビューでそう言った。

廊下の先にある研究室では、培養器の中に、ピンク色を帯びた液体を格納する透明プラスチック容器が詰まっている。その前で技術者が、バンバーガーを作るのに必要な数百億個の細胞を育てる複雑な仕事に集中している。それらの細胞は、屠殺場でもらった牛の首から採取したある特定のタイプの細胞から培養して作り出したものだ。

研究室で肉を作り出すと言う考え、大豆などのタンパク質原料で作ったものでは無く、実際の動物の組織を作り出すと言う考えは、もう10年以上練られてきたものだ。そのような物を求める議論には、動物愛護的なものから、環境問題に絡んだものまで含まれている。

例えば、2011年に雑誌、エンバイロンメンタル・サイエンス・アンド・テクノロジー(Environmental Science and Technology:環境科学と技術)に載った研究によれば、牛やその他の家畜類を飼育して屠殺する伝統的な方法と比較して、完全な培養肉の生産は、水と土地とエネルギーの消費量を大幅に削減する事が可能で、メタンを始めとする温室効果ガスの排出も減らせると言う。活動家によれば、このような環境上の問題は、中国やその他の国で中流の人口が増えるにつれて世界的な肉の需要が上がると共に重要性が増す一方だと言う。

この分野の数少ない研究者の1人であるポスト博士は、幹細胞と再生医学の技術を使って、培養肉開発における長足の進歩を成し遂げた。幹細胞は、筋肉など特定組織の細胞へと分化する前の先駆細胞であり、再生医学は、組織や器官を人工的に育てる医療研究の分野だ(実際のところ、ポスト博士は自分のことを、第一に再生医学の人間であると考えていて、彼の時間の約5分の4は、如何にして血管を作り出すかと言う研究にささげられている)。

しかしながら、研究所内で肉を培養する事は非常に困難であり、呪わしいほど高価であることが判明している。この分野を他の誰よりも熟知しているポスト博士は、バンバーガー料理会を繰り返し延期した。当初は11月に開催する予定だった。

彼のハンバーガーは約20,000本の薄い培養筋肉組織の断片で構成されている。何回か非公式のテイスティング・テストを経験したポスト博士は、脂肪がついて無いにしては「十分に良い味だ」と言う。ロンドンのイベントで付け加えるのは塩と胡椒だけにしようと彼は考えている。

この肉は幾つかの素材を元に作られている。その中には細胞を成長させる培養液として使われる牛の胎児の血清も含まれている。そういったものは最終的に動物を起源としない類似素材に置き換えられなければならない。又、このハンバーガーは莫大な費用で作られている。既に250,000ユーロ、約325,000ドルが費やされている。この費用は今のところ匿名を希望している寄贈家から得たものだ。培養肉が大規模に製造されスーパーマーケットで伝統製法の肉の隣に並び価格で競争できるようになるのは、少なくともまだ遠い未来の話だ。

「これはまだ初期段階の技術です。」ウェールズにあるカーディフ大学の社会科学者、ニール・スティーブンス(Neil Stephens)は言う。彼も長年、しばしば「shmeat(シュミート)」と呼ばれるこの肉を研究し、開発に努めてきた人間だ。「まだまだ、私たちが学ばねばならないものは非常にたくさんあります。」

そしてまた、安全性の疑問もある。しかし、ポスト博士を含む多くの人たちは、培養肉は、伝統製法の肉と同じくらい安全、あるいはもっと安全であると言い、より健康的に作ることさえできるだろうと言う。その他にも、厚くて肉汁の多いステーキにはあまり似てないこの商品を如何に消費者へアピールするかと言う問題もある。

「これはとても新しいものです。」スティーブンス博士は言う。「これが肉だと言えるかどうかの問題にも取り組まなければならないでしょう。」

ポスト博士はこれらの障害を良く判っている。「私はだぶん、他の誰よりも主要な障害が見えていると思う。」彼は言った。「しかし技術の進歩で、そういった障害がいずれ解決されると信じなければ、やってゆけない。」

そしてどんな技術を使ったとしても、最終的にコストの問題が残る。「もっと効率的に行うことができれば、安くできないと考える理由は何処にも無い。」彼は言う。「これは正しい素材を元に行われなければならない。しかしそのなかには、システムの中で再利用できるものもあるだろうし、自動化で労働コストを抑える事も出来るだろう。」

培養肉はコストにおいて、伝統製法の肉よりも本質的な利点があるとハンナ・トゥオミスト(Hanna Tuomisto)は言う。彼女がイングランドのオックスフォード大学で行った研究はエンバイロンメンタル・サイエンス・アンド・テクノロジーに掲載された研究の基盤となっている。「肉を作るとは、実質的に言えば、飼料を肉へと変換する事なんです。」彼女は言った。「培養肉の生産はとても効率的です。肉が作り出されるだけで他の器官は全く作られないのですから。」

ミズーリ大学の研究者で、培養肉の開発と市場化を目指すスタートアップ・カンパニー、モダン・ミードウ(Modern Meadow)社の設立者、ガボール・フォルガーチ(Gabor Forgacs)もまた、待ち構える障害を判っている人間だ。「培養肉をスーパーマーケットへ出すのは難しいだろうし、論争を呼び起こすでしょう。」フォルガーチ博士は言う。彼の培養肉に対するアプローチは幾分ポスト博士と似通っているが、彼は他にも、3-Dバイオプリント技術を開発していて、それはいつの日か、より厚い組織を作るのに使われる予定だ。

予想される困難さを見据えて、モダン・ミードウ社はまず、培養皮革の作成に集中する事にしている。培養皮革作成のプロセスでは、幹細胞よりも、皮膚線維芽細胞(skin fibroblast)と呼ばれるコラーゲンの生成に特化した細胞を使う。「肉を培養するのと、共通点が多いんです。論争が少ない点を除けばね。何故ってこれは食べる物では無いですから。」フォルガーチ博士は言う。「しかしもし私たちが皮革を生成できる世界に住んでいると納得できれば、肉を生成できる世界に住んでいると納得するのは、ずっと容易になるでしょう。」

培養肉に関する仕事で、ポスト博士は幹細胞の一種である筋衛星細胞(myosatellite cell)を使っている。この細胞はそもそも、傷ついた筋肉組織を修復する為に体自身が使う細胞だ。筋衛星細胞は、筋肉組織のある特定な部位から見つけられるもので、博士は牛の首から取り出した。そして成長を即す溶液と共に容器に格納した。博士達は多くの試行錯誤を経て、どのようにして最適に細胞を成長させ分裂させるかを学んだ。そして3週間以上に亘って倍増を続けさせる事に成功した。

「しかし私達は何十億と言う細胞を必要としています。」ポスト博士の研究所の技術者、アノン・ヴァン・エッセン(Anon van Essen)は言う。

細胞はその後、プラスチックの皿に乗せたゼリーの小片の上に置かれる。そして溶液中の、成長を即す栄養素は大幅に減らされる。本質的に細胞を飢えさせて筋肉細胞への分化を即すのだ。「私達は細胞が自然に備えている分化する力を使っている。」ポスト博士は言った。「何の魔法も無い。」

時間と共に分化した細胞は集まって原始的な筋肉繊維を形作り、筋管(myotube)と呼ばれるものになる。「そうなってやっと細胞はタンパク質をまとい始める、」そして伸縮性のある部品へと自らを組織してゆくのだと、ポスト博士は言う。彼の話では、この自己組織化で鍵と成るのは、細胞がどこかに繋ぎとめられている事だと言う(その為の技術の公開を彼は拒んだ。最初の頃、彼はマジックテープを使っていた)。「私達は細胞が何かに繋がって張力を作り出せるようにアンカー・ポイントを付け加えた。」彼は言う。「それがタンパク質合成の為の最も大きい駆動力なんだ。それを細胞は自分自身で行う。」

その結果作られるのが小さな組織の断片だ。長さ約半インチで、直径は20分の5インチしか無い。何か短いピンク色のライス・ヌードルのような物に見えるとポスト博士は言う。

断片は薄くなければならない。細胞が生き続ける為には、栄養素の供給源の近くにいなければならないからだ。分厚い組織を作る、いわばハンバーガーで無く培養ステーキを作るには、栄養素を各細胞へ届ける供給チャンネル、つまりは血管と同等のものを作り出す必要がある(ステーキの場合、他にも培養脂肪が組織に組み込まれている必要があるだろう。ポスト博士がバーガーの為には必要ないと判断したものだ)。

ポスト博士の話では、筋衛星細胞を使う利点の一つは、それが容易に分化する事だと言う。「幹細胞は理想的な細胞だ、」彼は言った。「分化させる為に多くのトリックを必要としない。私の考えでは、これには実用的な利点もある。多くの幹細胞を生産し品質を維持する作業を動物自身がやってくれるのだから。」

しかし筋衛星細胞が増殖する回数には限界が存在する為、ポスト博士の培養肉は完全に動物から離れる事ができないと指摘する人々もいる。新しい筋衛星細胞を得る為に筋肉組織の供給を常に必要とするのだ。

他の研究者は、別の種類の幹細胞を研究している。その細胞は筋衛星細胞と異なり、半永久的に増殖できる。培養肉を作る細胞の「家畜から独立した」供給を保障するものだ。

ユトレヒト大学のオランダ人研究者は、豚や牛から胚性幹細胞を分離する事に挑戦している。ミズーリ大学のニコラス・ジェノヴェーゼ(Nicholas Genovese)はある種の幹細胞を通常の成熟した細胞から「誘発(induce)」させて作る事に挑戦している。そうなると、例えば豚の皮膚細胞を幹細胞に変えて、それを無限に増殖させて筋肉細胞に分化し、培養ポークを作れるようになる。

しかしポスト博士に言わせると、異なった種類の幹細胞を使う努力は、別の問題を招き寄せると言う。そして、たとえ彼のアプローチでは依然として牛が必要であったとしても、その数ははるかに少なくてすむ。「もしこれで地球上の家畜を数百万単位で減らせるなら、それで私はハッピーだ。」彼は言った。「数十億単位で減らす必要は感じていない。」

何れにしても、彼は言う、「このプロセスの中で私達が現在使っている技術は、最終的には変わらざるをえないだろう。たとえ全てでは無くても。」

「そういった事は、概念を証明する上で問題では無い。」ポスト博士は言う。「重要な点は、私達が既に、肉と呼べる製品、あるいは培養ビーフを作る為の充分な技術を持っていると言う事だ。私達はそれを食べる事ができて、生き延びる事ができるだ。」

「私は本来、情熱的な人間では無い。」彼は付け加えて言った。「しかし私は強く感じているんだ。これが本質的に社会に大きなインパクトを与えるものであると。それこそが、私を強く惹き付けるものなのさ。」

~~ここまで~~

次回更新は6月1日ごろになると思います。
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Author:ゾノシン
英語の勉強の為に、ニュースサイトの記事を読んでいるうちに、面白さにつられて翻訳してみようと言う無謀な事を始めました。大変なので更新は一週間に一回位になると思います。どこまで続けられるか解かりませんが。

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