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コレステロール低下剤開発競争

薬品開発に関連する記事をUpします。

記事を書いたのはジーナ・コラータ(Gina Kolata)さんです。元記事はここにあります。

LDLコレステロールを抑えて心臓疾患を予防する薬品の話です。

~~ここから~~

稀な遺伝子変異の発見がコレステロール薬開発競争を刺激する

その女性はダラス郊外在住、32歳のエアロビクス・インストラクター。大学を卒業しており健康で2人の子供がいる。まったく普通の人だ。ある1点を除けば。

彼女のコレステロール値は驚くほど低い。彼女の低密度リポタンパク(low-density lipoprotein)の値、通常LDLと呼ばれる心臓疾患原因物質の値は14だ。健康な成人では聞いたことが無いような値であり、正常値は100を超える。

彼女のLDLがかくも低い理由は、父親と母親の双方から受け継いだ稀な遺伝子変異にある。彼女の他に同じような2つの遺伝子変異を受け継いだ人は、まだ1人しか見つかっていない。そのもう1人は若くて健康なジンバブエ人女性で、LDLコレステロール値は15だ。

この2人の女性における遺伝子変異の発見と、その目くるめくような低いLDL値は、かつて無い薬品開発競争を招いた。この競争は3つの製薬大企業、アムジェン(Amgen)、ファイザー(Pfizer)、サノフィ(Sanofi)の間で繰り広げられている。各社はそれぞれ、遺伝子変異の効果を模倣することでLDL値を新たな低みへと導き、心臓疾患を予防する薬のテストを繰り返しており、薬品の認可を得るべく奮闘している。3社は皆、臨床試験の段階にあり、今までのところ報告されている結果は興奮すべきものだ。

「これは我々の最優先事項です。」サノフィ社で先端医療(translational medicine)部門を率いるアンドリュー・プランプ(Andrew Plump)博士は言う。「我々が行っている他のどんな活動もこれ以上のインパクトを公衆衛生に与えるものはありません。」

国立心臓・肺臓・血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)のディレクター、ゲイリー・H・ギボンズ(Gary H. Gibbons)博士は、たとえ薬品が高価で、注射しなければならないものであったとしても、200万人のアメリカ人が投薬の候補となるだろうと推計する。しかしもしこの薬が安価で、かつ錠剤の形で提供されたら、それは2つの大きなifではあるが、この薬品は成人の4人に1人が使うものになりうると、彼は言った。

過去50年間の大きな進展にも関わらず、心臓疾患はアメリカ人の主要な死因であり続けており、年間約600,000人を死に至らしめている。1987年に市場へ売り出されたコレステロール低下剤、スタチン(Statin)は大きなブレイクスルーだった。しかし決定的な薬品と言うには程遠いものでもあった。

各製薬会社と、大勢の心臓病研究者は、予備的研究での成功に気を良くし、自分たちが大ヒットに近づいていると夢を膨らませている。しかしギボンズ博士は、決定的に重要な大規模試験、薬品が実際に心臓麻痺を予防できるかどうかをはっきりさせる実験は、まだ始まったばかりだと警告する。

「この試験で、この薬品がゲームチェンジャーかどうかがはっきりする。」彼は言った。

今のところ、予備段階の研究で薬品を摂取した人々、頑固に高いコレステロール値を持つ人々の100を超えるLDL値が、50とか40、あるいはもっと小さな値に下がっている。糖尿病におけるインシュリンのように、この薬品は注射しなければならない。しかし、摂取回数は1ヶ月に1回とか2回だ。

ファイザーの研究を監督するバリー・ガンビナー(Barry Gumbiner)博士は、患者のLDL値の最低値を会社として設定するべきかどうか、決めなければならなかったと話す。ファイザーはLDL値が25を下回った場合、治療を中断した。患者は問題なさそうに見えたが、会社は神経質になっていた。

「LDL値がそこまで低い人々を治療した経験は誰にも無かった。」ガンビナー博士は言う。

そして又、他にも心配すべきことは存在する。コストだ。各社の薬品は生物学的製剤(biologic)だ。いわゆる単一クローン抗体(monoclonal antibody)で、莫大な費用をかけて生きている細胞から作られている。現在すでに医療システムに負担を強いている幾つかの新しいガン治療薬と同じだ。アムジェンはこの薬品を何トンも作ることを計画している。同社によれば、他のどの生物学的製剤よりも多い量だ。

今、研究者たちは問うている、もしこの薬品が使用されるようになったら、コレステロールが低くなり過ぎないだろうか?

LDL値が低くなればなるほど、利益が増えることをデータは示していると、ペンシルベニア大学のコレステロール研究者で、この薬品におけるサノフィのコンサルタントでもあるダニエル・J・レイダー(Daniel J. Rader)博士は言う。

「もし自分に心臓疾患があったら、私は間違いなく自分のLDL値を50以下にしようとするだろうね。」レイダー博士は言った。

しかし研究の中でLDL値をかくも低くすることで、「私たちは地図の無い領域に踏み込んでしまった」とギボンズ博士は言う。

変異を探して

この薬品がどのように始まったかと言う物語は、約10年前にさかのぼる。フランスの研究者がネイチャー・ジェネティックス誌に短いレボートを発表した。驚くほど高いLDL値、466を超える値を持ち、強い心臓病傾向の歴史を持つ家族の3世代にわたる記録だ。コレステロール、詰まった血管に集積する黄色いワックスのような物質は、彼らの体に積みあがっていた。何人かは腱の部分にコレステロールが詰まった塊ができていて、それはまるで皮膚の下にできた瘤のようだった。その結果起きるのは心臓麻痺や梗塞、そして若い年齢での心臓疾患による死だった。

この家族の不幸の原因は、その当時まだ機能が判明していなかったPCSK9と呼ばれる遺伝子の変異だった。

すぐに研究者たちは、その遺伝子が体からLDLを取り除く能力を遅くしていることを発見する。フランスの研究者が調べた家族では、変異した遺伝子が異常に活性化していて、コレステロール・レベルを押し上げていたのだ。

このレポートを見て、ダラスにあるテキサス大学サウス・ウェスタン・メディカル・センターのジョナサン・C・コーエン(Jonathan C. Cohen)博士とヘレン・H・ホッブス(Helen H. Hobbs)博士は、ある考えを思いついた。もしPCSK9の変異が高いLDL値をもたらすのなら、おそらくは、その反対の効果をもたらす欠損も存在するに違いない。非常に低いLDL値をもたらし、心臓疾患になり難くなるような。

彼らは自分たちが作業をしている連邦政府委託研究のデータから、目指すものを発見した。研究対象者の内、約2.5パーセントの黒人、白人ではない人々が、機能を停止する変異をしたPCSK9遺伝子を1つ持っていた。そして約3.2%の白人が、より力の弱い変異、停止はしていないが機能を弱める変異を持っていた。

人間は全ての遺伝子について、両親それぞれから受け継いだ2つのコピーを持っている。そして、この新たに発見された変異をもつ人々は、エアロビクス・インストラクターのように2つの変異をもっていたわけでは無く、完全に機能するPCSK9遺伝子と、障害を持つ遺伝子の両方を持っていた。それでも、その影響は明らかだった。変異を持つ黒人は、正常値より28%低いLDL値を持ち、平均値は138では無く100だった。より弱い変異を持つ白人は、約15%低いLDL値を持っていた。

そして重要な点として、1つだけの遺伝子欠損を持つ人々は、生涯を通してLDL値が正常値より低いということだった。それは10年以上にわたって心臓疾患を育てた人々が中年になってLDLレベルを下げる薬の摂取を始めるようなケースとは非常に異なっている。

中年からコレステロール低下剤の摂取を始めた人々に対する大規模試験では、心臓疾患発生確率は、LDL値低下の割合に忠実に従って低下することが判っている。

生涯にわたって低いLDL値を持つ人々の心臓疾患リスクはどのようなものなのだろう?

ホッブス博士とコーエン博士は、45歳から64歳の黒人を15年にわたり追跡調査した研究データを詳しく調べ、彼らが心臓疾患の症状を育てたかどうかを見た。

これら1つだけの遺伝子変異をもつ人々でさえ、まるで心臓疾患に免疫をもっているかのようだった。その内の多くは、高血圧とか糖尿病とか喫煙とかのリスク・ファクターを持っていたにも関わらずだ。

より弱い変異をもつ白人は、心臓疾患になる確率が46%低かった。

この結果を受けて科学者は、両親の両方から遺伝子変異を受け継いでいる人間を探し始める。コーエン博士とホッブス博士は、自分たちが持つデータの中から変異を所持している母親と父親を探した。彼らはそのようなカップルを1組発見し、2006年にこの2人の娘をテストした。彼女こそが、まれな遺伝子変異を受け継いでいるエアロビクス・インストラクターだった。研究者たちは彼女と連絡を取っていて、彼女が健康であり続けていると述べている。彼女自身はインタビューを断った。

同じ時期に南アフリカの研究者も、自分たちの持つデータから2つの遺伝子コピーを持つ人間の捜索を始め、ジンバブエのマタニティー・クリニックにいる健康な女性を発見した。研究者たちは、彼女の現住所は知らないと言う。

しかしこの2人の女性は、たとえコレステロール値がとても低かったとしても、人間は健康に生きてゆけることを示したのだ。

「競争開始だ」

そしていよいよ、ハードな話が始る。すなわち変異と同じ効果をもたらす薬の開発だ。製薬会社はこの考えに釘付けとなり、誰よりも早く市場に製品を出したいと考えている。

期待は「余りにも熱くて、沸騰している」と、クリーブランド・クリニック心臓医療部門チェアマンでアムジェン診療試験のリーダーであるスティーブン・ニッセン(Steven Nissen)博士は言う。

アムジェンはこの薬品製造のために、コロラド、プエルトリコ、ローデ・アイランドに3つの工場を準備した。同社が予想する製造量は、単一クローン抗体としては前例のないほどの量になる。まだテスト中で認可まで数年かかる薬にしては大きな賭けだ。

ローデ・アイランドのウェスト・ワーウィックに7000万ドルかけて建設された4階建て工場は、「ガリバー旅行記」の巨人王国ブロブディンナグに出てきそうな建物だ。製造工程の全てのステージで、お馴染みの科学実験器具が巨大なものに拡大されている。研究所にある、抗体生成細胞を収めるガラスのフラスコは、トラックの燃料タンクほどのステンレス・スチールのタンクに膨れ上がっている。

同社は、認可が下りた時に、膨大な量の自社製薬品を用意しておきたいと考えている。

「今や競争は、誰にこれができるかと言う段階に入っている。」アムジェンの先端科学研究開発部門を率いるジョセフ・P・ミレティッチ(Joseph P. Miletich)博士は言う。

工場が薬の製造を始めたら、同社は、自分のLDL値を心配していて、実験物質の注射もいとわない患者のリクルートを始めることになる。

オハイオ州サウス・ポイント在住で60歳のデイビッド・メイズ(David Mayse)が、最初に心臓発作に見舞われたのは49歳のとき、古紙リサイクリング・プラントで働いていたときだった。医者はコレステロール値を下げようとして4種類の違った薬を彼に与えたが、大した効果をあげられなかった。そしてメイズ氏は又、心臓発作に見舞われ、心臓バイパス手術を受ける。医者は彼を心臓医へ紹介する。その心臓医は彼のコレステロール値を「並外れている」と言い、診療試験に入ってみないかと勧めた。

「その時は、もう何でも喜んでやって見たい気分だった。」メイズ氏は言う。

2012年2月、彼はシンシナチにあるメタボリック・アテローム硬化症研究センターを率いるエヴァン・A・スタイン(Evan A. Stein)博士の診察を受ける。メイズ氏はLDL値を下げるため、スタチンと別の薬品の混合薬であるヴィトリン(Vytorin)を服用していたのだが、LDL値は160あった。

メイズ氏はアムジェン実験薬の診療試験に参加した。彼のLDLは42に下がった。

レイダー博士の患者、ライアン・シュミット(Ryan Schmidt)は子供の頃から、自分がコレステロールの問題を抱えていることを知っていた。37歳で最初の心臓発作を患い59歳で死んだ父親と同じようにだ。

シュミット氏は、彼の弟と2人の妹と同様、非常に高いコレステロール値をもたらし心臓疾患で若死にする高いリスクの原因となる遺伝子を受け継いでいる。それで現在35歳のシュミット氏は、8歳のときからコレステロール低下剤の摂取をしてきた。しかしスタチンが市場に出回るようになってもなお、彼のLDLは充分には下がらなかった。

彼の心臓医は彼を、難病を専門とするレイダー博士へ紹介した。3種類の薬を同時に投与してもシュミット氏のLDL値を大きく下げることがかなわなかった後、レイダー博士は、サノフィの臨床試験を勧めた。

「これはまだ、F.D.A.が認可した薬品では無いのでしょう。」彼は言った。「何かが起きたらどうなるんです?」

父が死んだ時、彼は17歳で、軍隊に入る夢をあきらめて、母を助ける為に、大工や家具職人として働き始めねばならなかった。

父の死が「頭に浮かびました」とシュミット氏は言う。「私はいつ心臓発作に見舞われてもおかしく無い。」

3月に彼は臨床試験に参加する。彼は自分が、本物の薬品を受け取っているのか、偽薬品(placebo)を受け取っているのか知らない。しかし臨床試験が終わった後、もし望むなら、F.D.A.が認可するべきかどうか決断するまでの間、彼は薬を摂取できる、

その間にも彼が受け継いだ遺伝子は、その生活を支配している。彼と彼の妻は子供を欲しがっているが、2人は里子を育てるか、あるいは養子を取るかを考えている。

「私はこの悪い遺伝子を伝えたく無いだけです。」シュミット氏は言った。

~~ここまで~~

次回更新は8月10日ごろになると思います。
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Author:ゾノシン
英語の勉強の為に、ニュースサイトの記事を読んでいるうちに、面白さにつられて翻訳してみようと言う無謀な事を始めました。大変なので更新は一週間に一回位になると思います。どこまで続けられるか解かりませんが。

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