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全ての情報を飲み込むN.S.A.

アメリカの諜報機関N.S.A.に関する記事をUpします。

記事を書いたのはスコット・シェーン(Scott Shane)さんです。元記事はここにあります。

スノーデン情報で明らかになったN.S.A.の活動内容の記事です。

~~ここから~~

全てを呑み込むN.S.A.には小さすぎる情報など無い

4月に、国連事務総長の潘基文が、ホワイトハウスでオバマ大統領と会談し、シリアの化学兵器や、パレスチナ-イスラエル平和協定や、地球環境問題について話し合った時、会談は心温まる型にはまったやり取りに終始した。

国家安全保障局(National Security Agency:N.S.A.)は、そんな会談においてさえ、潘氏が話を有利に進めるのを阻止するため、事前に準備をしていた。後にN.S.A.が「作戦活動におけるハイライト」と内部週報で自慢げに報告した功績だ。仮にオバマ氏がN.S.A.のつまらないスクープを事前に見ていたとしても、この友好的な会談において、いったいどんな強みを得られたのかは想像するのも難しい(ホワイトハウスはそんなことは公表しそうもない)。

しかしこれは、この機関が数十年の間、外国のターゲットに対し、現時点でも将来においても、考え得る限りの利害を考慮して、どんな些細な情報でも収集すべきであると言う信条のもとに活動していたことを示す、象徴的な出来事だろう。何れにしても、アメリカ情報機関の人間は言うだろう。誰にばれるって言うんだ?と。

スノーデン氏がもたらした何千と言う秘密文書を解析した結果、N.S.A. は、外国政府を含む世界中の種々のターゲットから、盗聴およびハッキングによって秘密を暴き出す上で、圧倒的な能力を持つ電子的雑食動物として浮かび上がってきた。その間自分たちの活動については最高度の機密としたままだ。N.S.A.は常に、敵国と同じくらい友好国もスパイしている。同機関の公式な任務の中には、その調査能力を使って、同盟国であるフランスとかドイツのような国を相手に「外交的優位性」を達成すること、そして日本とかブラジルを相手に「経済的優位性」を達成することが含まれている。

オバマ氏はこの9月、N.S.A.の盗聴ターゲットとして名前を上げられて激しい怒りを表明したブラジル大統領、ジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)の横に立ち、居心地の悪い思いをさせられた。それ以来、同じような抗議が、EU、メキシコ、フランス、ドイツ、そしてスペインと、行列をなして出てきている。無念さをにじませたアメリカ政府高官は、いずれ外国の指導者の中には、盗聴のターゲットとされなかったことで侮辱されたと感じる者が出てくるだろうと、冗談を言い放った。

国家安全保障局でディレクターをしているジェームズ・R・クラッパー・ジュニア(James R. Clapper Jr)は、こういった抗議に対し、自分たちだってスパイ行為をしている外国政府の厚かましい偽善だ、と言って退けた。しかしながら彼は、最近のインタビューに答えて、35,000人の人員と1080億ドルの資金がかかったN.S.A.の盗聴活動は抜きん出た存在であることを認めた。「能力的な見地から言って、我々がこの惑星上の他の組織を、はるかに凌駕した存在であるのは疑問の余地が無い。おそらくは中国とロシアを除いてね。」

6月にエドワード・J・スノーデン(Edward J. Snowden)がN.S.A.の文書を提供して以来、止む事の無い一連の暴露によって、この組織の任務に関して、それが設立された1952年以降で最も広範囲な議論が始まっている。N.S.A.に対する興味の高まりは、国内最大の諜報機関であるこの組織の目的と正当性を危機に陥れ、ホワイトハウスは、国内および国外における諜報収集活動に対する精査を命じた。多くの者は、議会と2つの諮問委員会が調査の対象としている問題、アメリカ人のプライバシーが侵害されているかどうかに注目しているが、アメリカの捜査に対して世界中で表明されている怒りは、さらに広範囲の問題を呼び起こしている。

今後、機密性が当然でなくなるとしたら、海外で盗聴する政治的リスクが、盗聴で得る諜報の価値より大きくなるのは、いつだろうか?今や、e-mailやインターネット・サービスにおいてアメリカの会社に依存している外国の市民は、N.S.A.に対し何らかの個人情報保護を受けられるのか?果たしてアメリカのインターネット巨大企業は、自発的にせよそうで無いにせよ、当局に協力することで、国際市場で損害をこうむるのか?そして当局が秘密裏に暗号の弱体化を謀っていることは、全ての人のインターネットの安全性を損なうのか?

2009年にN.S.A.の本を書いた諜報史の専門家、マシュー・M・エイド(Matthew M. Aid)によれば、現在のように、あらゆる方向から諜報機関へ敵意ある問いが向けられたのは、初めてのことだと言う。

「N.S.A.の立場に立ってみたら、この状況は災厄だ。」エイド氏は言う。「新たに出てくるあらゆる暴露が、諜報機関にかけた手綱をしめるべきだと言う主張を強化している。これは必然的に政治による介入をもたらし、必然的に諜報活動に影響を与える。」

スノーデン氏が提供し、ニューヨーク・タイムズとガーディアンに共有された機密文書の精査によって、この機関のグローバルな活動や文化に対する、豊富な事例がもたらされた(当局の要請によって、タイムズ紙は、諜報活動に支障をきたす何点かの詳細情報については公表を控える)。N.S.A.は見たところ、世界のあらゆる場所で聞き耳を立て、あらゆる些細な電子情報を集め、ほんのわずかではあっても、世界に対する合衆国の知識を増やしている。何人かのアメリカ人にとって、これは心休まる話であるかも知れない。しかしそうで無い人々や海外の人々にとって、これは諜報機関の制御不能を意味している。

C.I.A.は今日においても、聖書に書かれた時代とほとんど同じやり方で、海外に秘密情報員を派遣し諜報を収集している。しかしN.S.A.は、未だ長距離電話がそれほど一般的でなかった時代に生まれ、パーソナル・コンピュータやインターネットや携帯電話の出現と共に、目標となる対象が爆発的に増大してゆくのを目の当たりにして来た。今日、N.S.A.は諜報機関におけるアマゾンだ。ちっぽけな書店がオンラインの大企業と違っているのと同じくらい、1950年代当時とは異なる機関となっている。世界中で、光ファイバー・ケーブルから内容を吸出し、電話交換機とかインターネット・ハブに陣取り、ラップトップ・コンピュータへ押し入り、スマートフォンにバグを仕込む。

オバマ氏、および諜報機関の高官は、テロリストの攻撃を防ぐ上でのN.S.A.の役割を擁護している。しかしながら機密文書が明らかにしているように、対テロリズムに焦点を絞るのは、ほとんど無制限の課題を抱える組織の売り込みにしては狭すぎる口上であるだろう。この組織の規模とその積極性は息も止まるほどのものだ。

この組織のディッシュファイア・データベース(Dishfire database:N.S.A.で使われる隠語、隠語なしでN.S.A.では何も進まない)は、世界中で出されるテキスト・メッセージ数年分を格納している。何かの役に立つかも知れないからだ。トラクフィン・コレクション(Tracfin collection)はクレジット・カード支払い情報を何ギガバイトも集めている。ヨルダンのインターネット・カフェでテキスト・メッセージを送る振りをしている仲間は、コードネーム、ポーラーブリーズ(Polarbreeze)と呼ばれるN.S.A.の技術を使って、近くのコンピュータに侵入しようとしているのかも知れない。ウェブ上のソーシャルネット・サービスで活発に活動するロシアのビジネスマンは、スナックス(Snacks)の餌食になるかも知れない。Snacksは短縮名狂いな同組織がSocial Network Analysis Collaboration Knowledge Servicesに付けたあだ名で、テキストの内容から組織内の人間の階層構造を割り出すシステムだ。

テキサスにあるスパイ組織の基地では、預言者ムハンマドの絵を描いたスウェーデンのアーティストを殺そうとするイスラム聖戦士の計画を阻止するために、478通のe-mailを傍受した。N.S.A.のアナリストは、中国人密航組織メンバーの名前とフライト番号をケネディ国際空港の責任者へ通知した。

同機関の盗聴装置は、国防省の航空機に載せられ、コロンビア上空60,000フィートを飛んで反乱軍FARCの位置と計画を傍受し、コロンビア政府軍へ提供した。オーランドカード作戦(Orlandocard operation)において、N.S.A.の技術者は、彼らが言うところの「ハニーポット(honeypot)」コンピュータをウェブ上にセットアップし、外国のコンピュータ77,415台からのアクセスを受け、何れ利用する時のために、1,000台以上にスパイウェアを植えつけた。

グローバル電話帳

N.S.A.が持つグローバル電話帳に何かを付け加えるためなら、どんな投資といえども大きすぎることは無い。2007年にバリで開催された地球環境変動に関する会議を狙った大規模な盗聴活動の後で、オーストラリアの後背地に拠点を置いた組織のアナリストは、一つの情報をキャッチして興奮した。バリの警察署長の携帯電話番号だ。

「我々の任務は、」公式には2032年まで公開されない同機関の5ヵ年計画書には書かれている、「他組織が計画し秘密にしている危険な活動を察知し、いつでも通報できるようにすることである。」

その目指すところは壮大だ。ネットワークでやり取りされる外国の諜報を「完全に把握」すると言っている。そして極めて企業的な言葉も使われている。「我々の仕事の進め方は、データを基にした意思決定の促進を必要としている。」しかしながら、全体の印象は、政府官僚組織の文章としては驚くほど道徳的でさえある。おそらくは、盗聴の持つ日陰の事業という印象に対抗するために、電子的傍受技術を意味する言葉、信号諜報(signals intelligence)、あるいはシグイント(Sigint)を、気高い仕事として言い表したかったものと思われる。

「シグイントの専門家は、たとえテロリストや独裁者が我々の自由につけこもうとしてきても、高い道徳的基盤を堅持しなければならない。」計画書はそう宣言している。「我々の敵は、彼らの大義を進める為に手段を選ばないかもしれないが、我々は違う。」

スノーデン氏によって持ち出され、タイムズ社と共有されたN.S.A.文書は、数千点におよび、書かれた日付は、主に2007年から2012年に亘っている。これらの文書は、主に英国の同等の機関、政府通信本部(Covernment Communications Headquarters:G.C.H.Q.)に関連して集められた約50,000点の記事の一部だ。

文書からは全体像がつかみ難いが、N.S.A.がカバーする範囲や能力は、中国沿岸を航海する海軍艦船が傍受する無線通信とか、メリーランド州フォート・ミードのパラボラ衛星アンテナが傍受し解析した世界中の銀行取引とか、世界各地に散らばる80棟のアメリカ大使館や公使館の屋上に、特別収集部(Special Collection Service)が設置したアンテナなどから、垣間見ることが出来る。

N.S.A.を擁護する者は、N.S.A.自身と、その最高機密レポートに依存する政府高官の中に居る。彼らは、世界におけるアメリカの地位と安全保障のためにN.S.A.は重要だと主張する。そして阻止されたテロ計画とか、暴かれた核兵器密輸とか、情報を常に外交官に知らせる必要性とかが指摘される。

しかしながらスノーデン氏によって暴かれた文書は、最も過激な諜報収集活動といえども、それのみで達成できることには限界があることを強調して見せる。文書が説明するところによれば、アフガニスタンにおいて、政府のオフィスもタリバン武装組織指揮官の隠れ家も共に対象とする絨毯的盗聴活動が行われたが、それでも、低い技術しか持たない敵に対して明白な勝利を上げることは出来なかった。N.S.A.はシリアが化学兵器を蓄積していることを把握していた。しかしその知識は、8月にダマスカス郊外で起きた忌まわしい虐殺を阻止するには何の役にも立たなかった。

文書で見るところN.S.Aは、自らの成功を称える上で公平性を欠いているようだ。パワーポイント上で、部下たちは上司に自分の功績を自慢し、マネージャーは大掛かりな計画を展開して見せる。しかし、彼らはN.S.A.の失敗や弱点を完全には隠せていない。膨大なコストをかけて集められた諜報の洪水は、チェックもされずに捨てさられる。外国語スキルが無いために傍受したものが読めない。そしてコンピュータは、N.S.A.においてさえ、いつもの様におかしくなる。

メッセージの痕跡をマッピングする

2009年5月、N.S.A.のアナリストは、イランの最高指導者、アヤトラ・アリ・ハメネイ(Ayatollah Ali Khamenei)が、珍しくも北西部山岳地帯にあるクルド人居住地へ赴くことをつかんだ。N.S.A.は直ちにハイテク・スパイ活動を組織する。それはアヤトラ・ハメネイをターゲットとした継続中のプロジェクト、ドレッドノート作戦の一部だった。

衛星写真を統括する国家地球空間情報局(National Geospatial-Intelligence Agency)や、G.C.H.Q.と緊密に協力しながら、N.S.A.チームはイラン指導者に付き従う随行者、自動車、武器を、衛星写真を基に解析し、離着陸する飛行機やヘリコプターの航空管制情報を傍受した。

彼らは、アヤトラ・ハマネイの補佐官が、救急車や消防車をトラックへ載せるクレーンを手配するのにイライラしている様子を聞いた。ハメネイ氏が、性別に分かれてサッカー場に集まった群衆へ、演説するのも聴いた。

彼らはイランの防空レーダー基地を研究し、旅行者たちの膨大な会話を記録した。その中には、ゴーストハンター(Ghosthunter)と呼ばれるN.S.A.プログラムによって収集されたイランの衛星の座標も含まれている。この活動の目的はイラン指導者の言葉を捕まえることでは無い。むしろ危機に直面した時に、絨毯的盗聴から効率的にイランのデータを集めることにあった。

文書中に「通信の指紋(communications fingerprinting)」と書かれたものを得ることこそ、N.S.A.の活動の鍵となるものだ。N.S.A.のコンピュータはこの指紋を使うことで、膨大な国際通信をスキャンし、最高指導者に関連するメッセージをピックアップすることが出来る。例えば、イランの核開発に関連した危機に直面した時、指導者の通信を傍受する能力は、将軍や科学者たちに重要な利点をもたらす。

より規模の小さいケースとして、2009年ソマリアでの似たような活動、「シグイント開発(Sigint development)」と呼ばれる活動がある。その活動で、ある文書が手に入った。それが人手で手に入ったのか電子的侵入で手に入ったのかは定かでない。その文書には、モガディシュのインターネット・サービス、グローバルソム(Globalsom)の顧客の内、精選された117名のe-mailアドレスと契約内容が記されていた。

リストにのったほとんどの者は、ソマリア政府関係者や民間人だ。おそらくは、武装組織の人間も数人居たと思われる。文書には、多くの国際機関のe-mailアドレスと共に、モガディシュの国連政務官(political officer)のe-mailアドレスと、慈善団体ワールド・ビジョンの地区ディレクターのe-mailアドレスも入っていた。

諜報収集に対する膨大な資源の投入は、N.S.A.の「顧客」から受ける圧力によって煽られる。「顧客」は政府内で使われる業界用語で、ホワイトハウス、ペンタゴン、F.B.I.、C.I.A.だけで無く、国務省、エネルギー省、国土安全保障省、商務省、そして通商代表部にも広がっている言葉だ。

多くの証言によれば、N.S.A.は、アメリカ・スパイの成功の証となる文書、すなわちホワイトハウスに毎朝早くに届けられる大統領への要旨日報(President’s Daily Brief)に記載される諜報の、半分以上を提供していると言う(ある文書には、ナイジェリア国家安全保障の盗聴情報が「ほとんど2ダース近く」要旨日報に取り上げられたと自慢げに記されていた)。あらゆる国際的な危機において、アメリカの政策決定者はN.S.A.の内部情報を参照している。

全てを手に入れろというプレッシャー

そしてそういったことは、どんな些細なものも見落としてはいけないとするプレッシャーになる。そのプレッシャーが膨大な予算と組み合わされ、ほとんど公衆からは見えないという条件と重なった時、ある種の過激な調査が生み出される。そしてそれは時として、合衆国連邦裁判所の一つでアメリカ人のプライバシー侵害問題を取り締まる外国諜報活動調査裁判所(Foreign Intelligence Surveillance Cort)とのトラブルへと、N.S.A.を導く。

9月11日の攻撃を受けてから一気に増加された予算によってN.S.A.は拡大し、メリーランド州フォート・ミードの基地から溢れ出し、ジョージア州、テキサス州、コロラド州、ハワイ州、アラスカ州、ワシントン州、ユタ州と、複数の拠点の拡張および新設が行われた。N.S.A.の職員は又、イギリス、オーストラリア、韓国、日本、といった海外の主要な拠点や軍事基地、および、海外のアメリカ大使館に設置された特別収集部の閉ざされた部屋の中で活動している。

N.S.A.は、圧力をかけたり、裏から手を回したり、法的手段を行使したりして、国内のインターネットおよびテクロノジー会社を情報収集協力者に仕立て上げ、彼らの設備にフィルターをインストールしたり、裁判所命令を出させたり、ソフトウェアにバックトアを設けたり、暗号を破る鍵を手に入れたりしてきた。

しかしながら、そういったアメリカが運営するウェブは全体の中の一部に過ぎない。数十年の間、N.S.A.は盗聴作業を、いわゆる5つの目(Five Eyes)と呼ばれる国々と分担してきた。英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド各国のシグイント要員とだ。より限定的な共同作業は、さらに多くの国々と行っている。その中には、公式に9つの目と呼ばれる国々や14の目の国々、そしてNacsi(NATO Advisory Committee on Special Intelligence)、すなわちNATO26カ国の諜報機関同盟などが含まれている。

シグイントを共有する範囲は驚くほど広い。「N.S.A.はベトナムとだって協力を模索するだろう、」2009年のあるG.C.H.Qの文書にはそう書かれている。しかし最近のG.C.H.Qの訓練資料によれば、合衆国と英国の間でさえも、全てが共有されているわけでは無いようだ。「経済、福利に関するレポートは、」英国経済を支援する目的で集められた諜報を指してその文書は言っている。「どんな外国とも共有することは無い。」

学校で昼食を食べる時みたいに、誰それは仲間に入れないとかいった話は、感情を傷つける場合がある。「ドイツは9つの目グループに入れて貰えないことで、少し機嫌が悪いようだ。」2009年のある文書にはそう書かれている。そして、スパイ対スパイの微妙なダンスの中で、N.S.A.は重要なターゲットである国とも情報を共有することがある。例えばイスラエルのような国とだ。

文書には、イスラエルのシグイント・ナショナル・ユニットとの共同作業が記されており、同ユニットとは、N.S.A.盗聴の生情報をやり取りしている。しかし同時に、ドローン機やブラック・スパロウ・ミサイルシステムを含む「イスラエルの軍事情報は最優先のターゲット」であるとも記されている。

共同作業と、隠密性の維持は、複雑になり易い。ある非常に価値のある海外の盗聴所について言えば、アメリカN.S.A.要員の存在そのものが、ホスト国政府との協定に違反する。盗聴作業の多くはジョージア州フォート・ゴードンのN.S.A.基地から遠隔操作で行われてはいるのだが、そのサイトを訪れるアメリカ人は、必ず契約作業員の振りをしなければならない。偽装したビジネスカードを携帯し、「典型的アメリカ人の服装は避けなければならない。」

「偽装する人間のことを良く知っておけ、」セキュリティーに関するパワーポイントの説明書は、海外の拠点へ向かうN.S.A.のスタッフに忠告する。「個人の痕跡を消せ」とも指令する。葉書は一切出さず、場所がわかるような土産も買わない(「例外は宝石だ、ほとんどの宝石は、」産出地を示す「印を持たない」)。

セキュリティーをバイパスする

今でも数学者の雇用先として国内最大であるN.S.A.の設立当初、頭でっかちな同機関のスタッフたちは、その当時、主に暗号解読ツールだったコンピュータの、最初の開発に重要な役割を果たした。

今日、パーソナル・コンピュータやラップトップ、タブレット、スマートフォンが、先進国のほとんどの家庭や政府オフィスに存在する中、ハッキングはN.S.A.の成長分野の一つだ。

スノーデン氏の文書には、テイラード・アクセス・オペレーションズ(Tailored Access Operations:T.A.O.)の設立が説明されている。これは、N.S.A.のある部門を指す上品ぶった名前で、その部門は世界中のコンピュータに侵入し、中のデータを盗み出し、時としてスパイウェアを残してゆく。T.A.O.は次第にその重要性を増してきている。何故ならN.S.A.はこれによって、暗号化してない状態のメッセージを捉えることが可能となり、暗号化をバイパスできるからだ。

T.A.O.はバグダッドの武装グループ、イスラミック・ステート・オブ・イラクの指導者が、e-mailアカウントの下書きに残したメッセージを収集している。この部門のハッカーは又、スパイナルタップ(Spinaltap)と呼ばれるプログラムのもとで、レバノンの武装組織ヒズボッラが使うコンピュータのI.P.アドレス24個を特定した。このI.P.アドレスでふるいにかければ、グローバル・コミュニケーションの洪水の中から、ヒズボッラのメッセージだけ取り出すことが出来る。

2009年に設立されたN.S.A.のエリート部隊、トランスグレッション・ブランチ(Transgression Branch)は、外国のハッカーの仕事を「発見し、理解し、評価し、利用する」ことを目的としている。目標とするコンピュータに他のハッカーが侵入したら、その陰に隠れてついてゆくのだ。他の空き巣の後について行き、彼らが開け放った窓を通って入る盗人のようなものだ。

例えば、2010年のハッキング作戦、コードネーム、アイロンアベンジャー(Ironavenger)でN.S.A.は、同盟国や敵国と一緒にスパイ活動をしている。諜報上非常に重要な敵対国の政府オフィスへ送られた怪しげなe-mailを分析官が特定したのだ。そして、アメリカの同盟国が「スピア=フィッシング(spear-phishing)」をしていることを発見する。スピア=フィッシングとは、公式e-mailに偽装してマルウェアが入ったものを送る手法だ。E-mailを開いくとマルウェアが植え込まれ、ハッカーが入れるようになる。

アメリカの諜報員は外国のハッカーの後を静かに追いかけて、敵対国のコンピュータから文書やパスワードを集めた。こういったものは手に入り難いターゲットだ。こうして敵対国政府の中を覗き込み、同時に同盟国のサイバースキルを注意深く観察することが出来る。この部隊が得意とする一挙両得の諜報活動だ。

多くの意味において、コンピュータとコミュニケーション・テクノロジーの進歩は、N.S.A.にとって恩恵だ。N.S.A.分析官は、アフリカのアル・カイーダ最高指導者が移動中、止まってコンピュータを使う度に残す電子的痕跡を追跡した。彼らは正確にその指導者が次に止まる場所を予測し、警官を配置して彼を逮捕した。

フォート・ゴードンにあるN.S.A.の大きな基地では、技術者が「Where’s My Node?」
と呼ばれる自動サービスを開発した。海外のターゲットが、あるセルから別のセルへ移動する度にアナリストへメールで知らせるサービスだ。アナリストは指一本動かさずに、獲物の全ての移動を追いかけることが出来る。

スパイ活動の限界

スノーデン文書に書かれた技術を使えば、N.S.A.はあらゆる事を察知できそうに見える。そして、正に全てを察知できそうなほどN.S.A.が力を入れた場所は、アフガニスタンをおいて無い。しかしながら、戦術レベルでのN.S.A.の能力は、合衆国が最も長い戦争を繰り広げるこの地において、戦略レベルの確固とした成功を収めるには、充分とは言いがたかった。

2011年6月にタリバンの中心地、アフガニスタン、カンダハールにあるN.S.A.の拠点が出したレポートは、この地の盗聴活動の激しさを象徴している。1日の仕事に対し15ページの分量が必要だった。

N.S.A.は、ハッカーニ・ネットワークの反乱軍がカブールのホテル・コンチネンタルを襲撃しているときの様子を盗聴している。彼らがパキスタンの部族地域に居る上官と連絡している内容を盗み聞きし、起きている出来事を1分毎に記録した。「ルフラー(Ruhullah)は3階にいて、もうすでに一人、犠牲者を出したと言った」報告書の定型項目の一つにはそう書かれている。「彼は又、ハフィツ(Hafiz)は別の階に居ると言った。」

N.S.A.の職員は又、2人のアフガニスタン外務省高官が、ハミド・カルザイ(Hamid Karzai)アフガニスタン大統領とイラン政府高官の会談を準備しているようすを盗聴している。合衆国との関係は「イランの国益を損ねるものでは無い」と彼らは保障していた。彼らはカルザイ氏に、イランを「兄弟のような国」と呼ぶよう求めていた。

N.S.A.は、アフガニスタンに派遣された国連高官スタッファン・デ・ミストゥーラ(Staffan de Mistura)が、ヨーロッパ連合の同僚ヴィーガウダス・ウシャツカス(Vygaudas Usackas)を相手に、アフガニスタン裁判所が下した議会メンバー62人の選挙結果を否定する判決に対し、どのように対応するべきか相談しているのを盗聴している。

N.S.A.は又、カルザイ大統領の兄弟である故アフメド・ワリ・カルザイ(Ahmed Wali Karzai)を仲介者として、カンダハール市長と、預言者ムハンマドの外套保持者として知られる土地の重要人物の間の、土地を巡る長々とした諍いを静かに見守ってもいる。

N.S.A.は又、タリバンが、チェックポイントの5人の警官を毒入りヨーグルトを与えて殺したと主張しているのを見つけている。又、地方の長官が補佐官に対し、土地の警察署長が女性や聖職者を口汚く罵っていると言っているのも聞いている。

合衆国軍の殺害/逮捕リストに上がっているタリバンの大物で、コードネーム、オブジェクティブ・スクイズ・インシナレーター(Objective Squiz Incinerator)として知られる人物、ミュラー・ラヒミュラー・アクフンド(Mullah Rahimullah Akhund)は、部下に、自爆攻撃用ベストと日本製オーバイを買ってくるよう命令しているところを聞かれている。

そしてN.S.A.はサウジアラビアの過激派、アブ・ムグヒラ(Abu Mughira)が母親に電話し、自分と仲間の戦士がアフガニスタンに入り、「勝利をもたらす作戦をやり遂げた」と報告するのを聞いている。

こういった報告はN.S.A.のカンダハール拠点から毎日々々、毎年々々報告されている。そしてそれらは、確かにアメリカの対タリバン作戦を強化してはいた。しかし同時に、これらの報告は、複雑な政治的、軍事的問題に対する諜報の限界も示唆している。N.S.A.はホテルの襲撃を記録したが、それを防げなかった。カルザイ氏の政府の行動を追跡したが、彼は依然として問題の多い不安定なパートナーでしかない。その調査は、多くの敵の戦士を捕まえたり殺害したりする上で重要だった。しかし、アフガニスタンの将来に対するタリバンの不吉な影を一掃するのに充分では無かった。

細かい話を全部掘り返す

アフガニスタンのレポートを含む多くの文書から受けるショッキングな矛盾は、テクノロジーを駆使し各地に展開する要員たちが、ターゲットに対して感じる奇妙な親近感だ。これは盗聴者からの一方通行の親近感だ。N.S.A.職員は、外部からは見えにくい政府高官のオフィスの個人区画とか、麻薬密輸業者や武装集団の殺伐とした隠れ家に、ほとんど事実上入り込んでゆく。

例えばベネズエラは、2007年以降のN.S.A.公式ミッション・リストで、中国、北朝鮮、イラク、イラン、ロシアと並ぶ6つの「永続的ターゲット」の一つだ。合衆国は、ラテン・アメリカに対する影響力に関して、その当時のベネズエラ指導者でキューバの同盟者を自任する左翼扇動家ヒューゴー・チャベス(Hugo Chavez)と自国が、競争の渦中に居ると見ていた。機関の目的の一つは「ベネズエラが持つ地域リーダーシップにおける目的の達成と、合衆国のグローバルな利益に害をなす政策の追行を阻止する」ことだった。

これが実際の活動として何を意味するかは、2010年8月のプレゼンテーション用パワーポイント「Development of the Venezuelan Economic Mission.(ベネズエラにおける経済ミッションの進捗度)」で垣間見ることが出来る。N.S.A.は、数十億ドルの資金がローンとしてカラカス(Caracas)に注ぎ込まれているのを追跡している。その資金の出所は、中国(レーダーシステムと石油掘削)、ロシア(ミグ戦闘機と肩撃ち式ミサイル)、そしてイラン(ドローン機製造工場)だった。

しかしこの任務は同時に、ベネズエラの計画・財務省(Ministry of Planning and Finance)の個人々々に近づき、政府のe-mailやベネズエラ・トップ10人の経済閣僚の個人e-mailをモニターすることを意味している。別の言葉で言えば、テキサスにいるN.S.A.要員は、顔の見えないベネズエラ官僚の個人メッセージを毎日精査し、何かしら政治的利益を得られるかもしれない細かい情報を追い求める作業をしているのだ。

2011年後半に行われた対麻薬作戦で、N.S.A.の要員は、広範な麻薬ネットワークの関連について、麻薬ディーラー自身よりも詳しく知っていた。彼らはエクアドルに本拠を構えるジャマイカ人麻薬供給者「リケッツ(Ricketts)」が、自分のコカイン・マリファナ密輸ビジネスを維持しようとして共犯者の「ゴルド(Gordo)」を追及しているのを聞いている。彼は250,000ドル払ったのに何も受け取っていないと主張していた。

レポートによればN.S.A.は彼らの携帯電話を聞いているだけでは無い。「バイヤー、運びや、供給元、仲介者」から構成され、地域としては、オランダやノバスコティアから、パナマシティーやコロンビアのボゴタまで広がる、彼らのネットワーク全体について知っている。文書にはこうした盗聴行為が逮捕に繋がったかどうかは書かれていない。

相手がテロリストであっても、N.S.A.ユニットは奇妙なほど個人的な関係を形成することがある。スノーデン氏がダウンロードした最高機密のグループ・ブログ、N.S.A.-G.C.H.Q.ウィキには、2008年にムンバイへ、流血の攻撃をしかけたパキスタンのテロリスト・グループ、ラシュカー=イー=タイバ(Lashkar-e-Taiba)を担当する、種々の基地に散らばる14人の専門家のリストが載っている。そのタイトルには「Pakistan Access Pursuit Team(パキスタン潜入追跡チーム)」とか「Techniques Discovery Branch(テクニック発見分隊)」とかが付けられていた。トリクルベータ(Treaclebeta)というコードネームの元で、T.A.O.のハッカーたちも参加している。

ウィキのくだけた雰囲気の中で、アメリカや英国の盗聴担当者は、諜報の世界特有の仕事話を交換している。「俺は普通、ファックスのスキャンではヘレティック(Heretic)は使わないんだ。ニュクレオン(Nucleon)を使うね。」あるユーザはそう書いている。彼が挙げたのは捕捉した文書をサーチする時に使うテクニカル・ツールの名前だ。

しかしながら、最も衝撃的なのは、武装集団メンバーに対し1対1で割り当てられるスパイだ。ブライアン(Bryan)はハルーン(Haroon)に割り当てられ、ポール(Paul)はファズル(Fazl)に聞き耳を立てている。

詳細情報の洪水

ラシュカー=イー=タイバ担当のある要員は、おそらくは言語スキルを持つ者 が不足しているために、自分が傍受したメッセージの幾つかは役に立たないと漏らしている。彼は、傍受した特定のラシュカー=イー=タイバ・メンバーの通信を読むために「何回かクエリーをした」とウィキに書いている、しかし付け加えて、「そのほとんどはアラビア語かペルシャ語だ、俺には意味がつかめない」と書いた。

これはある程度まで予想通りの事実を垣間見せてくれる。時としてN.S.A.の高価で広範囲な努力は、ほんの少ししか実績をあげられない。N.S.A.は、目標設定とか評価とかに企業社会的語彙を駆使しているが、同機関は達成度を測るのが困難な領域で、公共からの監視無しで活動している。

通信量が拡大し続ける世界の中にあって、N.S.A.は時として正に人手不足に陥る。2008年、N.S.A.の中東・北アフリカグループは、シグイント収集能力の変更に乗り出した。実質的には検索語を意味する選択器の「野心的消去」により、自動的に検索される語を21,177語から7,795語へ減らした。そしてN.S.A.が保持するピンウェール(Pinwale)データベースへの追加量を一日850,000件から450,000件へ減らした。

全体量の削減は重要な功績であり、イラン指導者やサウジアラビア、シリアの外交官に関する新たな収集への道を開いたと報告書は言っている。

そしておそらくはコンピュータ初心者が安心するような記述もある。N.S.A.の中東アナリストは検索ソフトに重要な欠陥を発見していた。コンピュータはターゲットとなる人物の名前を検索しているが、e-mailアドレスでは検索していなかった。いわば基本的な誤りだ。「一週間で500を超えるメッセージを逃していたと思われる。」報告書は、あるターゲットに関して、そう述べている。

こういったものは、日々の業務の改善だ。はたしてスノーデン氏による暴露が、より深い変更をもたらすかは定かでない。N.S.A.捜査部門の長官をしていたジョエル・F・ブレナー(Joel F. Brenner)は、批判の多くは公正とは言えず、現実のスパイ活動に対するナイーブさを反映していると言う。「N.S.A.は期待されている仕事を見事にやり過ぎたために叱責されている。」彼は言う。

しかしブレナー氏は又、付け加えて言う。N.S.A.では「テクノロジーが政治を凌駕してしまっている」と。彼は、スパイ活動さえも表に出てきてしまうこの時代で、「近しい同盟国までも機械的にターゲットにするのは、悪い政治であり、馬鹿げた行動だ」と言った。

以前内部に居た別の人物は、外国指導者の感情よりも、本国において広範囲な活動をするN.S.A.がもつ危険性の方を心配している。元N.S.A.高官だったウィリアム・E・ビンネイ(William E. Binney)は最近、批判を公言するようになった。そしてブラジル大統領とか、ドイツ首相のアンジェラ・メルケル(Angela Merkel)とか外国指導者をターゲットにしたスパイ行為には何の問題も無いと言う。「あんなことは、全ての政府がやっていることだ。」彼は言った。「外交とは基本的にそういうものさ。」しかしビンネイ氏は、新たな指導力の発揮、新たな法律、そして上から下までの改革をしなければ、N.S.A.は「いつの間にか専制政治が出来上がる(turnkey totalitarianism)」危険性を体現していると言う。現在は外国へ向けられているその恐るべき力が、アメリカ公衆に向けられる可能性だ。

「私は、もうすでにそう言ったことが起き始めていると思うんだ。」彼は言う。「それこそ私たちが止めなければならないものだ。」

ボビー・R・インマン(Bobby R. Inman)は1977年から1981年までN.S.A.ディレクターとして忙しい日々を送った人物だ。今後、N.S.A.にどのような改革がなされるにしても、ノイマン氏が、以前勤めていたこの職場に対し、今、正に示唆している改革は、かなり過激なものだと言えよう。「私の助言は、スノーデンが持っていると思う文書を全部自分で持ってきて公開することさ。」彼は言う。「もちろんN.S.A.にとって衝撃的なことだろう。しかし悪いニュースは時が経っても良くなることは無い。表に出すのが早ければ早いほど、再建も早くできるのだ。」

~~ここまで~~

次回更新は11月23日ごろになると思います。
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英語の勉強の為に、ニュースサイトの記事を読んでいるうちに、面白さにつられて翻訳してみようと言う無謀な事を始めました。大変なので更新は一週間に一回位になると思います。どこまで続けられるか解かりませんが。

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