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異種交配が加速する進化

進化論に関る科学の記事をUpします。

記事を書いたのはモイセズ・ベラスケス=マノフ(Moises Velasquez‐Manoff)さんです。元記事はここにあります。

動物の環境変化への対応と異種交配の関連についての記事です。

~~ここから~~

北極灰色グマ(Pizzly)は恐るべき存在なのか?

今日のニューイングランド地方(北米北東部)は、植民地時代以降のどの時代よりも多くの土地が木で覆われている。だいたいこの地域の80%が森林で、19世紀後半の30%しかなかった時代と比較すると大幅な増加だ。森の奥は再びヘラジカや七面鳥が歩き回るようになった。遠い昔、毛皮を追い求める猟師に駆逐されたビーバーも、再び河にダムを作るようになった。オジロジカは、あまりにも増えすぎたので、しばしば害獣と目されるようになった。そして滅多に見かけなかった捕食動物も森に戻ってきている。人々がコイウルフ(coywolf)と呼ぶ獣だ。これは古くもあり新しくもある獣で、だいたい4分の1が狼で3分の2がコヨーテ、残りは犬の血を引く雑種だ。
 この動物は五大湖北方の、狼とコヨーテが共存し、たまに交配する地方から来た。このイヌ科の一族の一方の端にはコヨーテの遺伝子が混ざった狼がおり、もう一方の端には狼の遺伝子が混ざったコヨーテがいる。他の遺伝子供給源はさらに北方で、そこにはユーラシア大陸から移住してきた灰色狼が居る。「私たちはこれをイヌ科のスープ(canis soup)と呼んでいるんだ」カナダ、オンタリオ州ピーターボロにあるトレント大学の科学者ブラッドレイ・ホワイト(Bradley White)は、狼とコヨーテのハイブリッド種についてそう話す。
 ホワイトと彼の仲間たちが繋ぎ合わせてまとめた創生の物語はヨーロッパの植民地時代、イースタン狼が狩り出され毒餌で殺され生息地の北東部から消滅した時から始まる。残った者たち、ホワイトが「忠誠者(loyalists)」と呼ぶ者たちはカナダに移り住んだ。同じ時期に生息地の大平原から東へ押し出されたコヨーテたちは逃げてきた狼と交わることになる。彼らの子孫はコヨーテや犬と交配を繰り返してゆく。その結果生まれた生物は、ウッドランド鹿を狩るのに充分な力を持っていて東部の森へ鹿を追ってやって来た。コイウルフ、あるいはホワイトが好んで呼ぶイースタン・コヨーテたちは、南のヴァージニアや東のニューファンドランドまで進出している。イースタン・コヨーテは、人間で満ちた土地に住む中型捕食動物が生存の必要に迫られて採用する平衡行動の研究対象だ。ウェスタン・コヨーテより約40%大きく狼のような力強い顎を持つイースタン・コヨーテは、狼のような社会性も持っていて群れで狩をすることができる(2009年に19歳のカナダ人フォークシンガー、テイラー・ミッチェル(Taylor Mitchell)はノバスコシア州ケープ・ブレトン島で一群のイースタン・コヨーテに襲われて亡くなった)。しかし又、コヨーテと同じような性質も持ち、シカゴ市の境界内にだいたい2000頭が生息している。人間の世界に住みながら繁殖できる驚くべき能力だ。
 「過去100年間に、この新たな種族の誕生を目撃できたのは我々にとってある種の恩典だろう。」ホワイトはそう私に言った。「そして我々が変化させた北アメリカの大地でこの種族が進化してゆく様を見ることができることも恩典と言える。」進化論的に言えば、コヨーテは100万年から200万年前に灰色狼から別れた。そして犬は狼から約15,000年前に別れた。前世紀に農業が中西部やカリフォルニアへ移動すると共に東部の耕作地は森林に戻った。そして化石燃料の隆盛と共に薪の需要が減る。その結果森林が広がり、鹿やその他の獲物が繁殖するが、その間にも人間の狼に対する不寛容は一番の競争相手を排除し続けた。
 このようにして人間は意図せずに、国内でも最も人口密度の高い地域に捕食動物のための生態系を作り出した。非常にわずかな時間の間に、コヨーテ、狼、そして犬の遺伝子は再び混ざり合い、獲物たちと、食物連鎖の頂点に立つ我々人間とがひしめき合うこの土地に、うまく適応した新たな捕食動物を生み出したのだ。そしてこの混血はまだ変化し続けている。ストーニー・ブルック大学の進化生物学者ハビエル・モンソン(Javier Monzon)は、鹿が最も密集して生息している領域のイースタン・コヨーテには狼の遺伝子が一番多いことを発見している。別のイースタン・コヨーテ研究者、ノースカロライナ州ローリーにある自然科学博物館の動物学者ローランド・ケイズ(Roland Kays)は、イースタン・コヨーテのハイブリッドな先祖たちは非ハイブリッドなコヨーテの5倍の速さで生息域を拡大させたと推計している。ほとんど全ての場所で大型の獲物が溢れている北東部の都市化された環境は、特例的に優れた適応力を主に遺伝子のごた混ぜ的特質によって獲得した捕食動物の繁栄を後押ししたように見える。
20世紀中盤、影響力のある進化生物学者エルンスト・マイヤー(Ernst Mayr)は、種が発生するのは、その種が何らかの理由で同種の別のものたちから隔絶された場合のみであると主張した。それ以来、進化生物学者の間で優勢な見解によると、異種交配、即ちハイブリッド種の生成は、系統の終焉に繋がる誤りだと認識されてきた。可能性のある結果の一つとしては生殖不能が知られている。雄ロバを雌馬に掛け合わせると不妊のラバが、すなわち進化論的失敗が産まれる。大きく枝分かれした家ネズミの亜種が混合するとしばしば不妊症の雄が産まれる。一方で生殖可能なハイブリッドは不適合の問題に直面する。何故なら親の種族は通常それぞれ異なる環境に適合するよう進化しているので、中間的なハイブリッドはどちらの親の環境にも適合できないはずだから。近しい種は、しばしば地理的に離れた環境にいるため交配を免れている。生息地を共有する姉妹種は、異なるマーキング、呼び声、そして行動特性を発達させている場合が多く、それを通して自分の種を見分けて異種交配を避けている。
 しかしながら、イースタン・コヨーテの出現は人間の行動が異種間の障壁を破壊しうることを示している。おそらく、人間の行動が自然の世界を変更する最も顕著な例は環境変動だろう。その影響を特別明白に受けている北極圏では、この惑星上の他の場所より2倍から4倍の速さで温暖化が進んでいる。春の雪解けは今や数週間早くやって来る、冬季の氷結は数週間遅くなった。かつて不毛だったツンドラに潅木が侵入してきている。関連種から比較的最近に枝分かれしているために異種交配が容易な高緯度の動物は、温度の上昇と海氷の溶解に追われて自分たちの生息地をシフトさせている。彼らはそうすることで、おそらくは従兄弟たちやハイブリッドと出会うことになる。
 メイン州、ミネソタ州、ニューブランズウィック州では最近、カナダオオヤマネコが南の方のボブキャットの子供を産むようになっている。南方のモモンガが北方へ押しやられてオンタリオ州南部に入り、森に住むより大きな従兄弟と交配するようにもなった。このプロセスで最も良く知られる例は、北極グマ(polar bear)と灰色グマ(grizzly)のハイブリッド、しばしば、グローラー(grolar)とかピズリー(pizzly)と呼ばれるもので、最近では4頭がハンターに仕留められている。その内1頭は遺伝子テストによれば第2世代だ。ほかにもハイブリッドと思われるクマの目撃例があり、この春に捕らえられた外見上灰色グマの幼獣をつれた母グマもその1頭だと思われる(まだテストは終わってない)。厳密に管理された灰色グマ・ハンティングも、北極グマ生息域へ雄グマを追いやることでこの交配に寄与していると思われる。「北極圏の温暖化は灰色グマにとっては悪いことではなかった、」アルバータ大学の生物学者アンドリュー・デロシェ(Andrew Derocher)は言う。
 私たちはこういった変化を、この惑星上で人間の活動が活発化したことによる意図しない結果と認識するであろう。それでもこの十年そこそこの間に科学者は、以前考えられていたよりもはるかに多くの種の遺伝子が他種族のDNAの断片を含んでいて、単なる進化の枝分かれだけでなくハイブリッドを通して形成された痕跡があるのを発見している。暖温帯および温帯に生息する小型のクライメンイルカは明らかに2種の大西洋イルカが交配してできたものだ。小アンティル諸島に生息するコウモリは3つの種から生まれたように見える。1つは中央アメリカ、1つは南アメリカ、そしてもう1つは絶滅種から。さらに言えば、ほとんどの人間はネアンデルタール人のような旧人類のDNAを少量受け継いでいる。別の言葉で言うと、ホモ・サピエンスも又、異種交配の影響を受けているのだ。
 北極グマと灰色グマは以前も異種交配していた。過去の交配の子孫はアラスカ南東岸沖、アドミラルティ島、バラノフ島、チチャゴフ島に生息している。ABCグマと呼ばれるこの種族は、外見上は茶色いクマだがミトコンドリアDNAとX染色体の一部は北極グマのものだ。一方は雑食でもう一方は主にアザラシを食す肉食であるこのクマの先祖が正確にいつ交配したのかは誰にも判らない。しかしこのようなことは時々起きていたと思われ、氷河の伸張や縮退という形でおきる自然な環境変動がクマたちを引き合わせて交配を促進したことを示唆している。
 広範囲にわたる異種交配の証拠は、ハイブリッドは生まれながらの失敗作であるという意見の再評価を促進している。今ではより濃淡のある見解が優勢だ。異種交配は破壊的である場合もあるが、適応を推進する場合もある。新たな種が異種交配によって一夜にして出現する場合もある。「種が分化して長い時間が経った後、姉妹種でさえない種でも遺伝子を交換する場合があり、その中の幾つかは有用でありうる。」ハーバードの進化生物学者ジェイムズ・マレット(James Mallet)は私にそう話した。
 まったくのところ、今日ではハイブリッドは単なる生物多様性の後退を超えた大きな意味を持っているようだ。それらは、突然の環境変化に直面した場合に発揮されるある種の強靭さを示しているのかも知れない。
 1973年、2人の生物学者、ピーター・グラント(Peter Grant)とローズマリー・グラント(Rosemary Grant)は、ガラパゴス諸島の火山島ダフネ・メジャーで4種の鳥、フィンチの調査を開始した。各種は異なる大きさのくちばしを持ち、くちばしの大きさに適した実を食べるようになっている。フィンチたちは鳴き方を通して同胞を認識していたが、幾つかの個体は、別種の近くに生息していたり、若いときに間違った巣に住み着いてしまったりで、間違った鳴き方を覚えることがある。毎年、これら少数の個体が別の種とつがい、少数のハイブリッドを生み出していた。これらのハイブリッドは成鳥になるほどには生き延びられない。
 そして1980年代初頭、極端なエルニーニョによって猛烈な雨にみまわれ、島の環境が激変した。大きなくちばしを持つガラパゴスフィンチ(Geospiza fortis)と尖ったくちばしのサボテンフィンチ(Geospiza scandens)のハイブリット種が増え、親種とも交配する。その後数年の内に遺伝子交換で、いまだ別の種でありつづける2つの親種のくちばしが中間的大きさに近づいている。
 その当時の科学者は、遺伝子多様性は偶然の突然変異によって引き起こされ、環境に適合した変異種のみが数千世代の後に勃興するのであり、進化はゆっくりと進むと考えていた。しかしグラント夫妻は、フィンチのくちばしが数世代で変化するのを観察し、異種交配によって進化が加速するのを実感した。鳥たちは、実質的に現場でテスト済みの遺伝性質を交換していたのだ。
 10年近く前、グラント夫妻は旱魃の後に種の分化が実時間で始まるのを観察した。大地上フィンチ(Geospizamagnirostris)と呼ばれる種が激減し、近隣のサンタクルズ島から数年前に来たハイブリッド種の子孫が最後には繁殖する。「彼らはより環境適合的(eco-space)だ。そう呼びたければだけどね、」ピーター・グラントはemailでそう私に伝えた。「彼らとその子孫は繁栄している。」
 グラント夫妻は、この物語を新しく書いた本「40 Years of Evolution(40年の進化)」で説明し、種が新しい環境に適合するのを異種交配が助けているという見解を発表した。極端なエルニーニョが島の環境を変更する前、島のハイブリッドは繁殖するほど長生きできなかった。しかし環境変更後、彼らは勃興し、親種の遺伝子交換の重要な担い手となり、環境適合を促進した。生態学的背景が、ハイブリッド種が成功するか失敗するかを決定している。
 エルニューニョによる変動を、人間の活動と関連した変動を含む別のものに代えれば、他のハイブリッド種に対する考え方、コイウルフやグローラーグマ、あるいは事実として私たち自身に対する考え方にたどり着く。ホモ・サピエンスがアフリカを去ったのは北部の砂漠が通行可能だった時だと、何人かの科学者は主張する。それは即ち、環境が変わった瞬間だ。私たちは遥か昔に生き別れとなった親族にユーラシア大陸で出会い、今日の北極グマと灰色グマの物語と同じように、交配したのだ。
 私たちはおそらく、「土着種」から遺伝子を借りることで、徐々にユーラシア大陸の状況に適合していった。サハラ砂漠以南のアフリカ人以外の全ての人間は少量のネアンデルタール人DNAを持っており、その中にはユーラシア大陸の環境で生き抜くのに重要な特質が、中でも特に、免疫システムとか肌の色の遺伝子とかが含まれている。そして現在の私たちのゲノムには旧人類のDNAが保存されており、そういったDNAは私たちのゲノムに保存されていなければおそらく失われていただろう。同じように北東部から消え失せていたかも知れない狼のDNAはコイウルフに保存されており、ネアンデルタール人のゲノムの5分の1は人類に分散されたかたちで生き延びている、と最近の研究は推測している。
 最新の遺伝子解析は、種の間の障壁は突破できないものなどでは無いという事実を、無視するのが不可能なほど強調している。モントレーベイ水族館の主席科学者であるブレンダン・ケリー(Brendan Kelly)は私に「生物学には汚い秘密がある。この科学の基本的要素、例えば種のようなものが、事実として適切に定義できないという秘密さ、」と言った。明らかに、生物を異なる形態へと導く強力な力、種を分化しようとする力が存在する。そのような力が無ければ、地球上は同一の生物で溢れていることだろう。しかし同じように明白なのは、進化の圧力は分化のみに向かうのではなく、ピーターとローズマリーのグラント夫妻が言うように、時として融合にも向かうということだ。
 この事実は単なる科学上の発見を超えている。これは種の保存努力の根幹に関っており、私たちが絶滅危惧種を保存しようとする時の新たな考え方を提供するものだ。もし2種類、あるいはそれ以上のかつては異なった種がハイブリッドの群れに完全に飲み込まれたとしたら、それは正味の損失、避けなければいけない結果だ。しかしイースタン・コヨーテのように、ハイブリッドは正味の収穫でもありうるのだ。あるいはガラパゴスフィンチで起きたことのように、ハイブリッドは遺伝子の交換を促進することで、親種が環境に適合するのを助けることもできる。
 環境保護主義者は長いこと、近親交配を避け将来的な環境適合能力を維持するためにも、動物の遺伝子多様性の維持を求めて活動してきた。しかし新たに生まれたのは、幾つかの遺伝子多様性の可能性が近しい関連種の中に、かつては受け入れがたいと見なされていたゲノムの中に存在するかも知れないという認識なのだ。実際のところ、ガラパゴスフィンチのように異種交配を通して急速に環境適合を可能にしてくれる近親種が存在することは、単一種族で居るよりも耐久性が高いであろう、とグラント夫妻は推測している。
 数人の科学者が私に話したところでは、幾つかのケースでは種の保存活動は多様な環境の中の雑種を含む複数の種を対象にすることになるだろうと言う。カナダにおける「イヌ科のスープ」は、単なる副次的現象ではなく環境適合を助けるイノベーションの泉と認識されるべきなのだろう。たとえ私たちが作った環境への適合であったのだとしても。
 去年の秋、私は科学者が懸念する類の、あるハイブリッド群の生息地を訪れた。エノス湖はセントラルパーク貯水池の40%しかない43エーカーそこそこの小さな湖で、もみの木で覆われたバンクーバー島にある。ここにはかつて2種類のトゲウオ(stickleback fish)が生息していた。1つは鉛筆のように細い体で広々とした水域に適合し、もう1つは分厚い体で岸に近い場所に適合していた。しかし1990年代に、おそらくは数千年間別の種であった2つの種は、不思議にも収束した。今は1種類のハイブリッドが優勢になっている。ハイブリッドがもたらす危険性を科学者が警告する時、これこそは彼らが意味しているもの、分化の逆転であり生物多様性の喪失だ。
 私が訪問した日、バンクーバーにあるブリティッシュ・コロンビア大学の動物学者でトゲウオの崩壊を最初に詳述したエリック・テイラー(Eric Taylor)は、群れの範囲を記録するために魚を採取しているところだった。私たちは一艘の赤いカヌーに乗って罠を回収するために漕ぎ進んだ。罠は彼が前夜、チェダー・チーズを餌に仕掛けたものだ。「バタバタ暴れる聖なる愚か者どもめ!」暴れるトゲウオで満杯の罠を引き上げながら彼は言った。しかし、ほとんどザリガニしか入ってない罠を引き上げた時、彼は言った、「君がもし気絶したら、こいつらは一時間で君を綺麗に片付けてしまうだろうよ。」
 この小さな甲殻類はトゲウオが崩壊する引き金を引いたと考えられている。彼らは本土の海岸沿いの土着種だがバンクーバー島にはいなかった。おそらくは人間がここに持ってきてしまったのだ。彼らがエノス湖の植物を大量に貪り食ったため、湖底はほとんど裸になり、靴がめり込むような泥になった。それが2種のトゲウオを1種にしたのだ。
 数年前、テイラーのところにいた院生が、何が起きたのか、可能性のある説明を試みた。メスの気を惹くために、オスは湖底の植物で巣を作らなければならない。テイラーの院生は近隣の湖に固有の2つの種を使って甲殻類がトゲウオの習慣にどのような影響を与えるかテストした。岸から遠くで暮らすトゲウオは甲殻類の存在に不安を覚えるようになるのを彼は発見する。巣作りは難渋した。メスは彷徨い出て、より困難の少ない岸に近い種とつがうようになる。不安感が、近接して暮らす姉妹種の間の障壁を破壊したようだ。
 科学者はこれと類似した現象、いわゆる柔軟性ある配偶者選択を、別の動物でも数多く観察している。中央アメリカのトゥンガラガエル(tungara frog)は泣き声で配偶者を見つける種だが、捕食性カエルの鳴き声を聞くと、異種から配偶者を選択する傾向が大きくなる。天候が極端に悪くなると一雌一雄の鳥が不貞を働く傾向が高くなる。アメリカ南西部で生息域が重なっている2種の鋤足カエル(spadefoot toad)の場合、四季で変化する池の水位が配偶者選びの傾向に影響している。実験では水位が低いときに異種交配は進む。
 「これは進化論の法則全てを打ち破る振る舞いです、」鋤足カエルを研究するノースカロライナ大学の生物学者カリン・ペニッヒ(Karin Pfennig)は言う。しかしこの現象は生殖におけるある種の現実主義を明らかに示していて、擬人化して言えばこういうことになるだろう:困難な時は誰かと結ばれた方が良い、誰とも結ばれないよりは。
 人類が自然界の生物に様々な方法で与えるストレスは増大している。石油漏洩や農業廃水が魚の異種交配を呼び起こすのは珍しい話ではない。カナダでコヨーテと狼のつがいを促進した狩猟や生息域の改変に似たような事例は大量にある。そしてもちろん地球温暖化がある。事例は数え上げればまだまだ続き、次のような結論にたどり着く:私たちが動物に影響を与えると、意図せずに動物の生殖相手の範囲を広げることになり、それは異種を含む地点まで進む。
 近年暖かい海流が南の方まで延びるようになったオーストラリアの東海岸沿いで、科学者がサメのハイブリッド種、熱帯に適応したオーストラリア・ブラックチップ(Australian blacktip)と、より広い海域にいるブラックチップとのハイブリッド種の第1世代、および第2世代を発見した。地球上最大の動物である南氷洋のシロナガスクジラと、より小さく暖かい海に生息するコマッコウクジラ(pygmy)の子孫が最近はアフリカ南方の南氷洋で見つかっている。
 さらに不可思議なのは、南極ミンククジラと北極ミンククジラのハイブリッド種の第1世代および第2世代の出現だ。2種のクジラの餌場は数千マイル離れている、この惑星の一番上と一番下だ。北方のミンククジラは南方のミンククジラから約500万年前に分かれた。人類の系統がチンパンジーから分かれたのとだいたい同じ時期だ。しかし南方のミンククジラが赤道を越えるのが1990年代終わりには観察されている。
 もちろんそれは有り得ることであり、この種の交配は常に起きていて、私たちが使う観測機器の発達によってやっと今になって発見されたものなのかも知れない。しかし新たに出現したハイブリッドは、温暖化や魚の乱獲、あるいはクジラが関る食物連鎖網がシフトしたサインでもあるかも知れない。
 そして私たちはハイブリッドを環境破壊の万能薬と見なしてはいけない。結局のところ、ハイブリッドが提供する柔軟性は、少なくとも2種類の親種が存在し続けていることに依存している。多くの種に与えられている条件ではない。しかし生産的な異種交配を示す証拠の増大は、種に対する私たちの概念の再考を促している。いくつかの点で、新たに出現しつつある見解は約1世紀の間私たちが慣れ親しんできた考えよりも、チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)のオリジナルの考えに近いものだ。ダーウィンは著書「種の起源(On the Origin of Species)」の中の1章を「異種交配(hypridism)」に奉げている。そして彼は種の定義についてあいまいで、種という「単語の本質は未発見であり、発見しようもなく、探すのは無益な努力」と述べている。彼はおそらく、緩やかな連続性の中に種や亜種が存在していると見ているようだ。
 その後、20世紀初頭から中頃にかけて種の概念は固まった。植物学者は異種交配を無視することなどできない。植物の間ではあまりにも頻繁に発生するものだ。しかし動物の間の異種交配は、「性的嗜好に関して私たちが考え得る中で最も馬鹿げた誤り」だと、1930年にある著者は書いている。
 ジョージア大学の遺伝学者で伝統的種の概念を長年に亘って執拗に批判し続けているマイケル・アーノルド(Michael Arnold)は過去を振り返って、このような態度を異人種婚姻に対する不安のせいだとしている。おそらく人種的「純潔」への不安は、私たちの自然に対する考えに影響を与えている。もしそうであるのなら、生物学はやっと似非科学のしつこい影響を払い落としつつあるのだろう。
 「生物多様性は生命の木ではなく、生命の網として発達したんだ、」アーノルドはそう私に言った。そのような相互関係は力強さを生み出す。「進化が実際に入り乱れていることは、ある種クールなことだ。」
 私と話す科学者たちは、最近になってやっと尊重できるようになった柔軟性を、動物たちが色々な圧力に対応して使うのを観察した時、しばしば不安と畏怖が混ざった感情を感じると言う。最後に残された疑問はたぶん、次のようなものだろう。はたして異種交配は、生物多様性をさらに毀損するものなのか、保存するものなのか、強化するものなのか、あるいはその3つ全部を組み合わせたものなのか?

~~ここまで~~

翻訳が終わり次第、適時更新します。
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Author:ゾノシン
英語の勉強の為に、ニュースサイトの記事を読んでいるうちに、面白さにつられて翻訳してみようと言う無謀な事を始めました。大変なので更新は一週間に一回位になると思います。どこまで続けられるか解かりませんが。

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